Appleが望んでいるのは、消費者がタブレットを買うことではなく、「iPad」を買うことだ。
Appleは、新製品の名称から数字や接尾語をそぎ落として「新しいiPad」と呼ぶという悩ましい行動に出たが、その裏にはおそらくそういう考えがあるのだろう。
修飾語のないiPadという名称に戻すことによって、Appleは単一ブランドの下でより明確なマーケティングを展開できるようになる。さらに重要なことに、同社は市場での支配的な立場を利用して、「iPad」を「タブレット」に代わるタブレットコンピューティングデバイスの一般名として売り込むことができる。ティッシュペーパーの「Kleenex」や画像加工の「Photoshop」、MP3プレーヤーを表すApple自身の「iPod」を思い浮かべてほしい。
ブランドコンサルティング企業Brand KeysのプレジデントであるRobert Passikoff氏は、「それは、Appleがタブレットというカテゴリを独占するための方法だ。同社はiPadブランドについて個々の機能よりもそのカテゴリを重視している」と述べた。
数字から離れたことは、年ごとの大幅なアップグレードが少なくなることも示唆しているのかもしれない。数字の使用、例えば2から3への移行は、製品が次世代に移ったことを暗示する。新しいiPadは確かに魅力的なタブレットだが、「iPad 2」に漸進的な改善を加えただけのものだ。単なるiPadという名称を使い続けることで、同社は少なくとも心理的には、毎年大規模な機能強化を行う責任から解放される。
Recon AnalyticsのモバイルコンサルタントであるRoger Entner氏は、「バージョン間の違いは、ますます少なくなっている」と述べた。
米CNETはAppleにコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
この考えは、Appleにとって全く新しいものというわけではない。同社の「MacBook」シリーズには数字が付いておらず、その名称は一貫している。変化しない単一のブランドを維持することで、派生製品を発売して、別の製品であることを明確に示すことも可能になる。例えば、MacBookには「MacBook Air」や「MacBook Pro」などのバリエーションがあり、それはちょうど「iPod nano」や「iPod shuffle」「iPod touch」が存在するのと同じだ。
今回のことは、常々うわさになっている小型版iPad、「iPad mini」の登場につながる可能性がある。
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