もちろん、当初はいくらかの混乱を招くかもしれない。消費者が店舗を訪れて注文するのは「iPad 3」なのか、それとも新しいiPadなのだろうか。また、iPad 2を見て、それは単なるiPadよりも優れた製品だと判断してしまわないだろうか。
しかし、そうした混乱はすぐに収まる公算が大きい、と業界ウオッチャーらは話す。店員は製品の相違点を指摘するだけの知識を持ち合わせている。また、陳列スペースの大部分と関心の大半は新型iPadに向けられ、iPad 2は目立つ位置には展示されなくなる可能性が高い。
初代iPadの名称にも当初はいくらかの反発があり、女性用衛生製品のようだと揶揄された。「iPhone」という名称でさえ、すぐに人々に感銘を与えたわけではない。Appleが最初にiPhoneを発表したとき、その製品名はCisco Systemsの不格好な製品を連想させた(Appleはその後、iPhoneという製品名の使用に関してCiscoと契約を締結している)。
最終的にもたらされる利益は膨大なものになるだろう。AppleのiPodはMP3プレーヤー市場を支配し、人々はMP3プレーヤーという名称を使わずに、iPodをデジタル音楽プレーヤーの総称として使うまでになった。
「『Zune』やMP3プレーヤーで音楽を聴いている、と話す人はいないはずだ」とPassikoff氏は述べる。
とはいえ、全米家電協会(CEA)によると、MP3プレーヤー市場はピーク時の2007年で約60億ドル程度の規模だったという。かなりの金額ではあるが、タブレットが持つ、大衆への潜在的なアピールを考えれば見劣りする。Forrester Researchは、2016年までに米国と欧州の全成人の3分の1がタブレットを所有するようになると予測している。
これほど多くの競合他社がタブレットを市場に出そうとする中で、Appleはおそらく、MP3の歴史を再現するよう取り組みを強化したいと考えたのだろう。今回はさらに多くのことがかかっている。MP3市場はAppleにとって良いビジネスだったが、タブレット事業は同社の将来を意味している。急成長しているこの分野でリーダーの地位を確保することは、MacBookやiPhone事業の継続的な成功よりも重要なことかもしれない。
「ブランド、そしてカテゴリとの関連という点について言えば、新しいiPadをiPadと呼ぶのは非常に効果的だ」(Passikoff氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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