コナミ、gloops、gumi――日本のソーシャルアプリケーションプロバイダとして常に売上上位を走り続ける「三強」の顔ぶれだ。各社とも月間売上は十数億円から二十数億円といわれ、GREE、mobageという2大プラットフォームの成長とともに、その勢いをさらに増している。
2月29日、この上位の一角を占めるgumiが大きなニュースを発表した。創業期からのメンバーであり、取締役最高技術責任者(CTO)を務める堀内康弘氏の退任だ。同氏は退社し、今後は株主としてgumiに関わっていくという。
2011年12月に20億円という大型調達を達成し、IPO間近ともささやかれる中、なぜ経営幹部がチームを抜けるのか? そこには“世界への挑戦”という現実を前にどのような選択をすべきかという苦悩が見え隠れする。gumi代表取締役の國光宏尚氏と退任する堀内氏の両者に話を聞いた。
堀内:当時は(國光氏の)無茶苦茶なオーダーをこなしてました(笑)。ただゲームがヒットして、会社が大きくなるとプログラムに専念することが難しくなってしまった。求められることがマネジメントに変わっていったんですよね。人材の獲得や外に出てgumiをアピールすることも多くなりました。
國光:会社が大きくなると創業メンバーの役割は変わってきます。ちょうど会社のメンバーが100人ほどになった頃かな。やっぱり難しい局面を迎えたことがありました。創業期からいてポジションが上がると、現場ではなくマネジメントに移らなきゃいけなくなります。その人が上手くマネジメントできれば問題ないのですが、そうでなければ、外部でそういったマネジメントを経験した人をいれる必要がでます。
会社を大きく成長させるには、そのステージにあった最善のメンバーを集める必要があります。シリコンバレーのベンチャーはここが優れている。日本のベンチャーも彼らと戦っていく為にはステージに合わせて最善の人材を集めていかないと勝負になりません。立ち上げ期に必要なスキルと、拡大期に必要なスキルは違います。これはどちらが優れているということではなく、向き不向きだけの問題だと思います。
國光:まずは国内でNo.1を取ることが重要です。多くのゲームを開発し提供すればもっと売上は上げれる。でも現在の社員数は大体170人ほど。まだまだ余力がないから会社の規模の拡大は最重点で考えています。
國光:市場が十分にできている所から順に攻めていきます。優先順位で行くと、日本、英語圏、韓国。その他の地域は市場が盛り上がってきたら攻めていきます。海外は現在コアチーム作りを進めており、韓国とシンガポールは目処が付きつつあります。
國光:日本のソーシャルゲームがどういう道のりをたどってきたか振り返ればいいと考えています。すべての産業は「導入期」「成長期」「成熟期」で構成されています。導入期から成長期に入るにはエポックメイキングなタイトルが必要。国内市場でいえば2010年9月にコナミがリリースした「ドラゴンコレクション」でしょう。これで成長期に入った。2012年の末にソーシャルゲームの市場は3500億円になり、来年は4000億円にまで拡大するという予測が出ています。(そこから推測して)おおよそ2013年の3月頃に市場は成長期を終え、成熟期に入ると思います。
成熟期に入ると寡占化して順位が固定化するので成長期の間に上位に入らないとその後の逆転はできなくなります。なので、戦略を考える上で重要なのは、「いつ成長期が始まって、いつ終わるか」「成長期の期間がどのくらいか」の2点。これが分かっていると、いつまでに何をすれば良いかが明確になります。日本の場合は2010年9月に始まって、2013年3月に終わった、つまり2年半。Facebookでのソーシャルゲームの成長期はFarmVilleが出たときに始まりました。そして成長が止まるまで大体2年半でした。
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