リコーは2月20日、雑誌などの紙媒体をiPhoneやiPadで撮影するだけでリンク先情報などを読み取れるアプリ「RICOH TAMAGO Clicker」を公開したと発表した。App Storeから無料でダウンロードできる。
元となる紙面に、二次元バーコードなどの埋め込みは不要で、そのままのページを活かせるのが特長だ。アプリの普及に向けて、2月23日に発売されるAERA English(4月号、朝日新聞出版)との試験サービスを開始する。AERA English内のページをiPhone、iPod touch、iPadで撮影すると、記事に関連するウェブサイトや動画などのリンクを自動的に画面に配信できる。既刊の2012年2月号、3月号においても対応しており、バックナンバーを持っていれば同日から利用できる。
RICOH TAMAGO Clickerで得られる情報は文字情報だけでなく、音楽や動画などのコンテンツにも対応できるのが特長だ。例えば、雑誌や本などに付属するDVDを開封する手間なく、読んでいるページに関連するアーティストのインタビュービデオを見るといったことも可能になる。さらに、さまざまなアプリやサービスとつなぐことができ、例えば気に入った商品を撮ってそのまま購入したり、お気に入りの写真を撮ってTwitterでつぶやいたりできる。
RICOH TAMAGO Clickerは、アプリで撮影した対象ページの画像認識および関連情報の配信を行うクラウドサービス「Clickable Paper」を活用したサービスだ。
リコーのiPadアプリ「RICOH TAMAGO Presenter」に続く「RICOH TAMAGOシリーズ」の第2弾。スピード感を重視するため、まずは“ビジネスのたまご”として形をつくり商品化への道を探る同社の「TAMAGOタスクフォース」の1つとして生まれたアプリケーションだ。
画像認識は、リコーの研究開発子会社が開発したリコービジュアルサーチ(RVS)の技術が活用されている。端末で雑誌などを撮影すると、ページ内の位置まで瞬時に認識して特定できる。iPhoneだけでなくiPod touchやiPad 2といったカメラ解像度の低い製品にも対応し、斜めから撮影しても認識できる認識率の高さも特長のひとつだ。
対応するクラウド側に用意するデータの作成は、PDFをベースにドラッグ&ドロップでリンクなどを埋め込んでいくもので、複雑な操作は必要ないという。
撮影した画像データの照合や、関連情報の配信は、Clickable Paperから行う。データには、1つのリンク領域に対して最大6つまで関連リンクを埋め込める。サーバ側で制御できるため、配信する関連リンクの追加や変更も容易だ。今後は、オーサリングツールを公開することも検討しているという。たとえば「食べ物ガイドなどに複数人でタグ付けができたらおもしろいのではないか」、とリコー グローバルマーケティング本部 Business Development Center クラウド開発室 TAMAGO-TF リーダーの國枝孝之氏は語る。
今回のテーマは紙とデジタルの融合だ。配られた文書を撮影すると、オリジナルファイルにすぐアクセスできる。会議やセミナーが終わった後に招待状やチケットなどを撮影すると、プレゼンテーション資料が入手できる──など、ビジネスシーンにも応用できると見る。
今後は新聞や雑誌、カタログ、ポスターなどとの連携を検討しながら、紙媒体のアナログ情報と、インターネット上のデジタル情報とを結びつけるビジネスを模索していくとしている。
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