リコーは5月19日、ペーパーレスで会議やプレゼンテーションを行えるiPad向けアプリ「RICOH TAMAGO Presenter」を発表した。日本語と英語に対応しており、アップルの「App Store」から無料でダウンロードできる。
RICOH TAMAGO Presenterは、サーバなどを設置することなく、アプリを所有する人同士で資料(PDFファイル)を共有できるのが特長だ。現在は、10台以下での使用を推奨しているという。
使用するには、会議の主催者がWi-Fiを経由してアプリ上から会議名と共有したい資料(3つまで)を設定しておく。同一ネットワークにいる参加者がRICOH TAMAGO Presenterを起動すると、設定されている会議名が表示され、タップすると資料を自動でダウンロードするしくみだ。なお、複数の会議を同時開催できるが、同時に5会議までを推奨しているとのことだ。
会議中は、単にファイルを共有できるだけでなく、発表者がページをめくれば参加者のiPadでも自動でページがめくられる連動機能を持つ。主催者が開くページと同期する「Share」モードと参加者が自由に閲覧できる「Local」モードを備える。また、主催者でなくても「Presenter」ボタンを押した人が発表者として主導権をとり、資料を切り替えて会議を進めることも可能だ。
さらにリコー製のネットワーク対応プロジェクタを使用すると、資料をワイヤレスでプロジェクタに投影できる。ページめくりも主催者の操作と連動するほか、アプリ上でプロジェクタのオン/オフなどを操作できるリモコン機能も備える。
RICOH TAMAGO Presenterは、スピード感を重視するため、まずは“ビジネスのたまご”として形をつくり商品化への道を探る「TAMAGOタスクフォース」の第1弾として生まれたアプリケーションだ。
リコーは、自社製品の品質を保つために独自の評価基準を持っており、社内の製品評価におよそ3カ月の時間を要するという。ハードウェアを多く手掛けてきたリコーならではの手厚い品質管理は、スピードが重視されるソフトウェアにおいてビジネスチャンスを逃すことにもつながりかねない。TAMAGOタスクフォースは、これらの悩みを解消したいという思いからスタートしたものだ。
TAMAGOタスクフォースは、「アンテナ製品」とリコー グローバルマーケティング本部 Business Development Center クラウド開発室 TAMAGO-TF リーダーの國枝孝之氏は言う。「商品化が決まっていて、その手前のものがベータ版。TAMAGOタスクフォースは、ベータ版やプロトタイプと呼ぶよりは、コンセプトを見てもらうためのアンテナ製品的な位置付け。といっても手を抜いているわけではない。たとえば20台まで同時接続した結果、10台での使用を推奨している。評価してもらえるだけの品質はあるつもり」
RICOH TAMAGO Presenterの開発にあたっては、スピード感を重視するため「まずはできる限りシンプルにした」(リコー グローバルマーケティング本部 Business Development Center クラウド開発室 TAMAGO-TFの岸宣之氏)という。
「反響は思ったよりある」と徐々に自信を深めつつある。実際にこのRICOH TAMAGO Presenterを付加価値として、競合企業よりも金額が高かったにもかかわらず、リコーのプロジェクタの導入が決まった例があったという。
「(アプリをリリースしたことで)ここ1カ月2カ月で新しいニーズがでてくると思う。たまご2号、3号を産みだしつつ、新機能を考えて行きたい」(リコー グローバルマーケティング本部 Business Development Center クラウド開発室 TAMAGO-TF スペシャリストの本橋昌昭氏)と語った。
“たまご”からさらに発展させるため、資料へのメモ書き機能や資料のページと連動した音声の録音機能、議事録機能や資料をクラウド上に自動保存する機能など、温めているアイディアはいくつもある。今後、ユーザーからの要望に応じて機能の追加やAndroid版、PC版の開発などを行いたいとしている。
なお、6月15日~16日にリコージャパンが東京国際フォーラムで開催する「VALUE PRESENTATION 2011」にてRICOH TAMAGO Presenterを活用したソリューションを展示するとのことだ。
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