先日、Facebookがとうとう株式公開を決めたと発表したことに、米国のテクノロジー業界のほぼ全体が喝采した。これがウォール街の歴史上、最大級の新規株式公開になることは明らかだ。テクノロジー業界が空騒ぎをするのは無理もないことだろう。なにしろこれは、地元のヒーローがドラフトで1位指名され、ニューヨークヤンキースと記録的な金額で契約をしようとしているようなものだからだ。
一方、Appleは最近、2011年の最終四半期に同社の製品が460億ドルの売上を上げ、同社が130億ドルの利益を得たことを明らかにした。これは、テクノロジー企業の四半期の利益としては過去最高であり、米国企業全体の歴史を見てさえ、もっとも利益の大きい四半期の1つだった。3ヶ月間でこれ以上の利益を上げたことがあるのは、Exxonのような石油会社だけだ。Facebookがテクノロジー業界のドラフト1位指名なら、Appleは三冠王とMVPを取ったスラッガーだ。
表面的には、これら2つの企業に共通点はほとんどない。Appleは細かく調整されたハードウェアとソフトウェアを誇る絶対的な存在なのに対し、Facebookは若く、奔放で、実験的な性格の強いウェブプラットフォームだ。Appleが世界中でもっとも秘密主義的な株式公開会社の1つであるのに対し、Facebookはプライバシーは過ぎ去った時代の遺物だと考えている。
しかし、注目を集めているテクノロジー業界の2つの企業は、1つ大きな共通点を持っている。どちらも、テクノロジーの世界で古くから継承されているオープンエコシステムを拒絶し、囲い込みアプローチを取ったということだ。これまで、囲い込みアプローチは大きな収益を上げる可能性があるが、大衆を魅了することはなく、大きくは育たないというのが一般的な見解だった。AppleとFacebookはどちらも、この一般的な見解に真っ向から挑み、強引に押し切った。彼らは単純に、より大きく、より塀の高い囲いを作ったのだ。
多くの意味で、AppleとFacebookの人気は、平均的なユーザーがオープンエコシステムでぶつかる問題に対する反動の結果だったと言える。つまり、現在テクノロジー業界でもっとも人気のある2つの企業がAppleとFacebookであることは、偶然ではないということだ。
オープンエコシステムは、ユーザーに次のような重要な恩恵を与えてくれるということを念頭に置いて欲しい。
しかし、オープンシステムには問題もあり、テクノロジーが拡大して多くの人の手に入るようになると、これらの問題はより深刻になる。
製品は多くの異なる環境で動作する必要があるため、不可避的に最小公倍数に合わせられることになる。これは多くの場合、最先端技術やイノベーションを素早く広範に実装するチャンスを失うことを意味している。1社が全体のプロセスをコントロールする独自の環境では、その企業は標準について意見の一致を待つ必要がなく、より素早く一方的に動くことができる。これは、発展の速い業界では競争上の優位になり得る。
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