(編集部注:こちらは、2月8日に公開の「「Android」向け「Chrome」ブラウザ、ベータ版がリリース」に、オリジナル英文記事中にある未翻訳部分を追加し、一部を再編集して公開しています)
Googleは米国時間2月7日、「Android」向け「Chrome」ブラウザのベータ版をリリースした。これは、Googleの最も重要な2つのプログラミングプロジェクトを結びつける大きな節目だ。
これまでのAndroid搭載ブラウザと異なり、この新しいブラウザは「Android Market」で入手できるため、ユーザーは端末メーカーによるOSアップグレード経由での提供を待たなくてよい。しかし、今回のブラウザは、新しいハードウェアアクセラレーションインターフェースに依存するため、「Ice Cream Sandwich」でしか動作しない。Ice Cream Sandwichは、2011年にサムスンのスマートフォン「Galaxy Nexus」に搭載されて登場したが、現実的にはまだ少数派である。
Android向けChromeには、デスクトップ版のJavaScriptエンジン「V8」に加えて、複数のタブ間を移動するためのジェスチャーベースの制御機能やデスクトップ版Chromeとの同期機能が備えられている。しかし、Adobe Systemsの「Flash Player」やGoogle独自の「Native Client」といったプラグインには対応していない。同ブラウザの性能および機能によって、Androidユーザーによるブラウザ利用が増えることをGoogleは期待している。
GoogleでChromeおよびアプリケーション担当シニアバイスプレジデントを務めるSundar Pichai氏は、「全般的に見れば、利用は増加してきている」と述べた。「より多くの人々がモバイルウェブを利用するようになると期待している」(Pichai氏)
今回のブラウザがIce Cream Sandwich限定であるのは残念だが、「Android 4.0」を持っているユーザーの間では、Chromeは間違いなく大きな人気となるだろう。ベータ版ではあるが、少なくとも筆者が試したGalaxy Nexus上では強力なブラウザであり、また、Appleの「iOS」上の「Safari」よりもはるかにしっくりとしている。そして結局のところ、今回のブラウザがAndroidと一緒に出荷されるようになりさえすれば、その成功は決定的になる。
Googleはブラウジングのあらゆる側面について検討し、必要があればそれをモバイルの世界に適合させようと試みてきた。Chrome担当エンジニアリングマネージャーのArnaud Weber氏は、「目的は、モバイルブラウザを再発明することだった」と述べている。「われわれは、Chromeのあらゆる機能を検討し、すべてについて意見を出し合った」(Weber氏)
AndroidとChromeは非常に関係性が深い。どちらも2008年の年末に一般利用が可能となった。また、両方とも最初は小規模で大ざっぱなプロジェクトだったが、利用が爆発的に伸びて、Googleにとっての最重要項目となっている。
どちらのプロジェクトも、実際にはそれ自体が目的ではない。むしろ、より多くの人々にインターネットと、そこにあるGoogleのサービスを使ってもらうという目的を達成するための手段だ。AndroidとChromeは、Google検索や「YouTube」「Google Docs」「Google Maps」「Google+」、そして間違いなく、多くの将来的なオンラインサービスへと人々を運んでいくためのツールである。ChromeとAndroidが、Googleアカウントにログインしていればより便利に使えるようになっているのは偶然ではない。
互いから得るものが非常に多くあることを考えれば、ChromeというチョコレートがAndroidというピーナツバターと絡み合うようになるのに3年以上かかったのは、多少驚かされる。しかしGoogleは、Android向けChromeを十分よいものにしたかったのだとPichai氏は述べた。
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