「われわれは、モバイルエクスペリエンスに最適化された極めて高機能なブラウザに、デスクトップブラウザが持つV8などの機能をすべて搭載したかった。それはチャレンジだった」(Pichai氏)
さらにGoogleは、Android標準ブラウザにChromeの名前を付けたくなかった。そのブラウザは、Chromeの基となっているオープンソースの「Chromium」をベースにしていなかった。また、Googleは「デスクトップで慣れ親しまれているものを、基盤となるモバイルプラットフォームで動作させる」ようにしたかったとPichai氏は述べた。
数多くの機能
新しいブラウザの機能には、以下のようなものがある。
- 同ブラウザでは、タブボタンをタップすると、複数のタブが重なったページのように表示される。ページは、いずれかの方向へとスワイプすると閉じられる。その操作は、Ice Cream Sandwich上で通知を削除する方法とほぼ同じだ。ページをクリックすると、そのページが全画面表示され、その状態で指を一方から他方へとスライドすることによってページをめくることができる。
- 同ブラウザでは、ユーザーがタップするだろうとGoogleが予測するリンクについて、そのページをプリロードすることができる。これはネットワークをあまり待たずに、ページを表示できるということだ。
- Android向けChromeには、スクロールなどの処理用にハードウェアアクセラレーションが搭載されている。この機能は、ブラウザのタブなどの滑らかなビジュアルフィードバックにも使われている。
- 広範囲にわたるウェブ標準規格がサポートされている。例えば、複数の演算プロセス用の「Web Workers」、サーバとブラウザ間の通信を高速化するための「Web Sockets」、「HTML5」のビデオおよびオーディオ、オフラインストレージ用の「IndexedDB」などである。
- 同ブラウザは、タブレット向けに再構成されている。「ユーザーはタブレット上で、ノートPCと似たエクスペリエンスを求めていることをわれわれは認識している」とPichai氏は述べた。そのために例えば、タブストリップはPC上と同じような外観になっているという。
- ブックマークやウェブアドレス自動補完候補などのデータをデスクトップブラウザと同期することが可能で、今後のアップグレードによりパスワードにも対応する予定である。Android版「Firefox」と同様に、ノートPCやデスクトップで開いたタブは、Android向けChromeでもリストから開くことができる。同期機能を利用するには、Googleアカウントにサインインする必要がある。
- 同ブラウザには、キャッシュ画像やクッキー、ブラウジングの履歴といった痕跡を携帯電話に残さない、「Incognito」モード(シークレットモード)がある。Incognitoモードのタブは、独立したタブスタックに隔離されており、Incognitoタブが開いている場合は、タブボタンをタップしてから適切なスタックをタップすることによって、Incognitoモードのタブスタックと通常のタブスタックの間を移動できる。
- プログラマーは自分のPCを使って、Android向けChromeで正常に表示されないウェブページのデバッグをリモートで行える。PCでコマンドを入力することで、Android向けChromeのウェブページを開いて、詳しく調べられる。
Chrome for Androidは、GoogleのモバイルOSの「Ice Cream Sandwich」バージョンでのみ動作する。
提供:screenshot by Stephen Shankland/CNET