Appleの「A5」プロセッサには、Audienceという新興企業からライセンスを受けたノイズ低減回路が含まれており、あるチップアナリストは、それが「iPhone 4S」の謎を解く鍵であるとともに、「iPhone 4」に音声制御システム「Siri」が搭載されない理由であると考えている。
Audienceは2012年1月、新規株式公開(IPO)のための書類を提出した際、Appleとの提携の詳細を明らかにした。iFixitとChipworksによる分解により、iPhone 4にAudienceの専用チップが搭載されていることがわかったが、iPhone 4SにはAudienceの「EarSmart」技術がA5プロセッサに直接組み込まれているとAudienceのS-1申請書には記されていた。
この情報により、Linley GroupのアナリストLinley Gwennap氏が抱いていた、iPhone 4Sに搭載されているA5チップに関する疑問が解決した。それは、なぜ同チップのサイズが大きいのかという疑問だ。プロセッサは大きいほど高価になり、消費電力も高くなる可能性があるため、チップ設計者らは回路サイズを1平方ミリメートルでも縮小しようと努力するものである。
Gwennap氏は米国時間2月3日付けのレポートで、「『Cortex-A9』CPU2基と、A5に業界最高水準の3Dグラフィックス性能を与える大規模なGPUが搭載されていることを考慮しても、それらを除いた残りの部分の面積は、通常のハウスキーピングロジックに対するものとしては大きすぎるように思われる」と述べた。「システムコストを低減し、Audienceチップに必要となる余分なパッケージをなくすために、Appleはノイズ低減技術をA5プロセッサに直接組み込む契約を結び、それがiPhone 4Sで実現されているようである」(Gwennap氏)
またAudienceは申請書の中で、iPhone 4に使用されている同社の技術は、話し手が端末を口の近くに持った場合のみ有効であると述べた。しかし、iPhone 4Sに組み込まれたAudienceのノイズ低減技術はそれよりも優れている。
「これにより、AppleがSiriをiPhone 4に対するソフトウェアアップグレードとして提供しない理由が説明される。iPhone 4にもAudienceのチップが搭載されているが、同社はその後、『遠距離音声』に対応するように自社の技術を改善した。つまり、端末を口のすぐ前に持たずに、腕をのばした状態で使用した場合にも対応できるようにした」とGwennap氏は述べた。
Siriのサポートは、iPhoneの旧式の機種を所有する一部のユーザーらの間で論争を巻き起こしている。Siriを旧式のiPhoneで使用できるようにするには、技術的に複雑な手段が必要である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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