AppleのSiriは、検索の世界のルールを変える可能性があり、Googleに大きな圧力をかけたが、Appleはまずウェブ検索の統合を行う必要がある。
AppleのiPhone 4Sは、デザインを一新したiPhone 5を待ち望んでいた人には失望を与えたが、大きな観点から見ると、iPhone 4Sの発売はAppleの「秘密の部屋」であった可能性がある。
ハリー・ポッターを例に引くことを許して欲しい。「秘密の部屋」はハリー・ポッターの7冊シリーズの2冊目であり、一般にポッターファンの間ではあまり人気がないが、最終刊までたどり着くと、この2冊目には将来起きる出来事につながる、プロットに関する重要な情報が含まれているのに気づく。
iPhone 4Sがハードウェアの追加的なアップグレードであり、デザインが新しくならなかったことが、Appleの将来を形作る可能性のある、革命的な機能をくすませている。音声による命令、音声による検索を可能にする、Siriのことだ。
AppleはSiriの提供開始をiPhone 4Sに限定したが、これはおそらくSiriがiPhoneの計算能力を余分に必要とするからではなく、Siriがまだベータテスト中であるということと関係している。Siriにはクラウド接続が必要だが、開始時にSiriの拡大を制限することで、Appleはデータセンターのストレステストと、将来に向けての規模拡大を行うチャンスを得ることができた。
まだベータテスト中ではあるが、Siriは印象的な機能だ。Google AndroidとWindows Phoneはどちらも音声操作の面でiPhoneに追いついたが、AppleはSiriの買収とiPhoneへの統合で、両者を大きく引き離した。Siriの大きなポイントは、自然言語を理解すること、そしてiPhone上の多くの異なるアプリケーション間で標準化されていることだ。ユーザーは使用するアプリを意識する必要さえない。ただ、Siriに自然言語で命令すれば、自動的に正しいアプリと連携して実行する。これは、音声ユーザーインターフェース(VUI)の次のステップとして素晴らしい。
Siri体験の原点は、1984年に初代Macintoshが発売された際、Steve Jobs氏が発表のクライマックスで「ここで、Macintosh自身にしゃべってもらいましょう」と言い、(Macintalkを使って)実際にしゃべらせたときにあり、そのとき当時のテクノロジー好きは度肝を抜かれた。もちろん、大きな観点から言えば、すべては「スタートレック」に登場したコンピュータとそのVUIまでさかのぼる。つまり、Appleはずっと以前から日常的なコンピューティングに会話を統合するというアイデアに魅了されていたのだ。それも、ほぼ会社が設立された当初から。
もちろん口で命令を下し、スマートフォンがその命令にリアルタイムで従ってくれるのは楽しいが、Siriの革命的な側面は、インターネット検索に関する機能だ。Siriは初期段階にあり、まだ未完成ではあるが、Siriが検索のプロセスを劇的に合理化し、未来を垣間見させてくれる場面もある。
例えば、わたしは最近Siriに「一番近い地中海料理レストラン」と尋ねたのだが(図)、11のレストランとその利用者のレーティング、現在の場所からの距離をリストにしてくれた。リストのどれをクリックしても、すぐに地図が表示された。
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