KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は1月26日、2012年3月期第3四半期の決算会見で、スマートフォンの普及によって急増しているモバイルトラフィックについてコメントした。
競合のNTTドコモは、トラフィックの増加により、1月25日8時26分から13時8分までの間、東京都の一部地域でFOMAの音声・パケット通信サービスが利用しづらい状況が発生。1月26日に急遽会見を開き謝罪している。今後の対応については1月27日にドコモ代表取締役社長の山田隆持氏によって説明される予定だ。
またKDDIも、1月25日深夜に都内で通信障害が発生し、東京都の一部エリアでau携帯電話、固定電話、法人系サービスが利用できない状況が発生。1月26日3時3分には復旧している。同社では「基地局をつなぐ固定系の伝送設備の故障が原因」としており、今回の通信障害とトラフィックの増加は関係していないという。
モバイルトラフィックについての田中氏のコメントは以下の通り。
需要にあわせてどんどん増やしている。また、私のところには毎週のように機械と伝送路の使用率のモニタリングレポートが届いている。オーバーフローしそうなところについては設備を増強している。
他社のトラブルの内容をそこまで把握していないので申し上げにくいが、我々はスマートフォンが入ったときからトラフィックを心配している。障害が起こらないように増設のタイミングを逸しないようにしている。
むしろ懸念しているのはもう少し先。本当にこのまま多量のトラフィックが流れて、それも世界一データを使う国民がこのまま耐えきれるのか。オフロードやいろいろな規制は並行して進めているが、それにも限度がある。いまは(問題を)後送りしているだけ。今回のスマートパスポート構想も、よりビット単価(通信設備コスト)が安くて、トラフィックのハンドリング能力が高い固定系に逃がそうという構想を持っている。
現実的にはスマートフォンの影響は制御チャネルだけではなく、いろいろなところに発生している。データ量ばかりが注目されているが、トランザクションの数、制御チャネルの数など、いろんなところをモニターしているので、それにあわせて増設をかけていく。
オープンの世界でそこまで我々がコントロールすることはできないと思う。提携などをしていればできるが、マーケットで公開されてるアプリが急に流行ってしまったりということであれば、さすがにコントロールできない。また我々のネットワークがそこまで追い詰められているかというと、そうでもないという印象。できるだけ現状をモニターしながら対応できるようにしたい。
◇相次ぐ通信障害
KDDI、25日深夜に都内で通信障害--26日午前3時に回復
OCNで通信障害--海外向け通信がつながりにくい状態に
ドコモ、25日朝から都内で通信障害--午後1時に回復
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◇各社のスマートフォントラフィック対策
ドコモ、spモード不具合を受け対策本部を設置--トラフィック増に対応
スマホのトラフィックをマイクロセル化で分散--WCPが提供するSoftBank 4G
スマホ全盛期のKDDIトラフィック対策--iPhone比較にも反論
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