わたしが3年生のとき、教室に「Apple II」があった。そのマシンで「Oregon Trail」をプレイしていたのだが、そのうち壊れてしまった。
ここに、「iPad」を高校で使用することの問題点がある。デバイスというのは故障するものだ。Appleは米国時間1月19日午前、「iBooks 2」によるデジタル教科書を発表した。それを聞いてまず思ったのが、「ハードウェアはどうするのか」ということだ。わたしは公立学校で、大変だったが充実した時を過ごした。わたしの両親は2人とも高校の教師で、わたし自身も子どもの通う公立小学校でPTAの会長を務めたことがある。そのため、確信を持って言えるのだが、世界最高のソフトウェアがあっても、近い将来にApple製品群(ほかのどんなハードウェアも)を公立学校に導入するのは、現実的に難しい。そうでなければいいとは思うのだが。
最初の障壁はコストである。これは明白な障壁だ。わたしが住んでいるカリフォルニア州の公立学校は大規模な予算削減に直面しているため、教科書1冊あたりの価格が15ドルだとしても、どの学校も全く新しいライブラリを購入するより、10年前の教科書を使い続けることを選択する可能性が高い。わたしの地域にある家庭は、幸運にも1クラスの生徒数を少数に維持する地方税の恩恵を受けているが、それでも教室で使用するコピー用紙やマーカーペンのコストは負担している。また、ここでは、美術教師の雇用を維持することを目指して資金集めが行われている。われわれにとって、華やかなテクノロジなど笑ってしまうほど縁遠いものだ。
しかし、議論を進めるために、仮に生徒数700人の中規模の高校がiPadを導入するための助成金を求めたとしよう。学校としては、日々のメンテナンスよりも、1回限りの投資の方が助成金を得やすい。したがって、知恵の働く学校なら、財団にうまく働きかけて、学校全体にiPadを導入するための小切手を切らせることも理論上は可能だ(Appleが聡明なら、2月開催がうわさされるiPadイベントでの新発表の機会を利用して、市場に種をまくかもしれない。例えば、軽量モデルのiPadを多くの学校に無料で提供する、などだ)。
現行のiPadの価格だと、助成金は最低でも35万ドル以上になるだろう。これはハードウェアのみの金額だ。Appleが15ドルだとしている高校生物の教科書だけでも、全生徒分を購入するには、さらに1万500ドルのコストがかかる。学校全体にすべての教科書を揃えるとなると、さらに何十万ドルものコストがかかるだろう。確かに50万ドルという助成金も存在するが、それを手にするには助成金申請専門家チーム(通常はボランティアだ)の超人的な努力が必要になる。
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