2011年は「働き方」について考えを変える大きな転機となる年だったのではないだろうか。次々に生まれたスタートアップ企業は、レンタルオフィスやインキュベーション施設に入居し、開発を進めた。また3月の東日本大震災以降は、テレワークなどを使いいかに事業を継続していくかを課題とする企業も増えた。
こういった国内事情とは別に、欧米で起こった「コワーキング」という新しい働き方が日本でも知られるようになってきた。
コワーキングとは、人々が業種を問わずに交流して、新しいアイデアやノウハウを共有したり、協働したりするという働き方のことだ。そしてそんな働き方の人たちのためのオフィススペースである「コワーキングスペース」も秋頃から急増している。
1つのオフィスに複数企業が入居する、と聞くとまず思い浮かべるのはシェアオフィスだと思うが、コワーキングスペースは一般的なシェアオフィスとどう違うのだろうか? 最も大きい違いは“オープンさ”だという。
CNET Japanでは、これまで都内を中心に複数のコワーキングスペースを紹介してきた。そのいずれもが、仕切りのほとんどない自由な空間を用意している。その中で仕事をし、利用者同士でアイデアを出しあい、情報を共有している。起業したばかりのエンジニアと、フリーランスのデザイナーがコワーキングスペースで出会い、協業するといったことも自然に起こっている。
そんな新しい働き方を提案するコワーキングスペースについて、これまでの記事を元に振り返っていく。
ソーシャル時代の新しい働き方「コワーキング」--日本最大級スペース「SSI」も公開サムライインキュベートが設立した「Samurai Starup Island」は、りんかい線天王洲アイル駅から徒歩数分のビルの2階をそのままコワーキングスペースに使っている。その広さは555平方メートル(約168.2坪)。すでに35社以上が入居しているほか、毎週のようにスタートアップ向けのイベントが繰り広げられているという。
経堂のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」の上のフロアには、同店を経営する旅と平和のコワーキングスペース「PAX Coworking」がある。30人ほどが入るスペースには、デザイナーやエンジニア、起業家らが集まる。
オープンソースソフトウェアの開発に関わる河村奨氏がオーナーを務めるのは、下北沢にある「下北沢オープンソースCafe」だ。車庫を改装したスペースは、交流用と作業用に分かれている。自分のタスクを紙に書いて貼り、その達成度合いに応じてドリンクの割引をする「DONE割」など、コミュニケーションのきっかけを作るための制度も導入している。
不動産や空間デザイン、カフェ経営などの経験を持つ中村真広氏と村上浩輝氏の2人が運営するのは、渋谷新南口徒歩3分にある「co-ba」だ。全面を黒板として使える壁や、「枝分かれした木」をイメージしたデスクなど、機能だけでなく空間にもこだわりを持っているという。
さくらインターネットの創業者の1人であり、現在は飲食店の経営などを手がける小笠原治氏が西麻布に作ったスペースが「NOMAD NEW'S BASE」だ。12月にできあがったばかりのスペースだが、すでにさまざまなイベントでも利用されている。
兵庫県神戸市にあるカフーツは、1年半以上前に設立された古参スペースだ。運営する伊藤富雄氏は、京阪神のコワーキングスペース関係者を中心にしたイベント「コワーキング・フォーラム関西2011」発起人も務めた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス