2011年にデジタルメディア界を賑わせた物語(ニュース)の数々が、目の離せない、続きが気になるエンディングを迎えようとしている。
なかでも興味を引くのは、Netflixの今後だろう。オンライン映画レンタルサービスのNetflixは2011年、利用料の値上げやDVD事業のスピンオフの動きによって、ユーザーとの関係を悪化させ、その人気はあっという間に衰えた。
デジタル音楽の分野では、Steve Jobs氏を失ったAppleが支配力を維持できるかという疑問が渦巻いている。Jobs氏が過去10年間、音楽配信について最も明快な考え方をする人物だったことは間違いない。「iTunes」を擁する同社は今、これまでで最も手ごわい競合に囲まれている。その中で、新しい最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏が舵を切る。
一方、著作権侵害の問題はどうなるのだろうか。コンテンツ所有者は、違法なファイル共有をウェブの隅の方へと押しやりつつある。彼らは2011年、Lime Wireを訴えてサービスを中止させるとともに、違法なファイル共有を厳しく取り締まるよう大手インターネットサービスプロバイダーを説得した。コンテンツ所有者は、テクノロジ業界から非常に嫌われている「Stop Online Piracy Act」(SOPA)法案が2012年に米議会を通過するのを目にすることができるだろうか。
筆者は次のようになると考えている。
Netflixにとって、2012年は再び難しい1年になる。同社は最近、2012年第1四半期の赤字見通しから、年間を通した最終赤字へと進んでいる。また先日には、資金調達も行っており、ウォール街の関係者の間では、ストリーミングサービス向けのテレビ番組や映画のライセンス料の高騰に対応できるだけの現金が同社にはないのではと心配する声もある。それが本当なら、近い将来、最悪の事態が起こる可能性がある。
ビデオの数が少なければ、ユーザー数も減り、収入が減る。収入が減れば、コンテンツの購入資金が少なくなり、悪循環に陥る。しかし希望はある。不景気になると、消費者はケーブルテレビを解約するからだ(余談だが、おかしなことに、ケーブルテレビの人々は、以前はケーブルテレビを解約してインターネットに移行する「コードカッティング」(編集部注:「コードを切る」から転じて、ケーブルテレビを解約するの意)は存在しないと言っていたのに、今はコードカッティングの原因はNetflixではないと主張している)。
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