Amazonはこの数年、ウェブエンターテインメントの提供という点では極めて弱い立場にあるように見えた。
インターネット時代の黎明期に、最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏が率いるAmazonは、ウェブでCDやDVDを注文した顧客に商品を配送するとともに、ウェブで音楽や映画といえばAmazonだと言われる存在になった。その後Appleの「iTunes」やNetflixがデジタルデータのダウンロードとビデオのストリーミングによって物理的なディスクを廃れさせ、Amazonの存在感は静かに薄れていった。
しかし、Amazonは米国時間2月22日、同社の「Amazon Prime」サービスの加入者に無料で映画のストリーミングを提供すると発表して健在ぶりを誇示した。Amazon Primeの加入者は、インターネットに接続されたデバイスからウェブサイトにログインすると、すぐに5000タイトルの映画やテレビ番組にアクセスできるようになるという。Amazon Primeは、79ドルの年会費を支払えば、最小購入金額などの条件を満たさなくても翌日配送サービスを無料で何度でも受けられるサービスだ。
ブログ界の多くのコメンテーターが、AmazonのビデオサービスはまだNetflixキラーではないと指摘している。そのとおりだろう。しかしこれは、成長するメディアストリーミング分野でNetflixやAppleなどに対抗する準備を整えるにあたって、Amazonが最初に試みた取り組みにすぎない。
Amazonが膨大な小売リソースと資金力をビデオストリーミングサービスのマーケティングに充てれば何ができるかと考えてみると、想像は膨らむ。Amazonは、同社のサイトにアクセスする毎月6500万人のオンラインショッピング顧客に対し、このサービスを宣伝することができる。ビデオサービスを他のあらゆる種類の製品と組み合わせて販売することもプロモーションすることも可能だろう。コンサルティング会社Frost & Sullivanでウェブビデオ分野を担当するアナリストDan Rayburn氏によると、Amazonは、リビングルームのテレビでストリーミングビデオを視聴できるようにするセットトップボックスをPrimeメンバーに格安価格で販売して、サービスに大きな付加価値を添えることも考えられるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス