カリフォルニア州マウンテンビュー発--3年間の沈黙を経て米国時間12月9日夜、Google本社で、ウェブのセキュリティを高め、ブラウザのパフォーマンスを著しく向上させる同社の新テクノロジが初めて公に披露された。
Googleは「Native Client」(NaCl)が実用水準に達したことを示すため、イベントを利用して、リッチでプロセッサに高い負荷をかけるグラフィックで知られる複数のゲームの「Chrome」専用版を新たに発表し、即座に公開を開始した。同社は、同ブラウザの全世界ユーザー数が2億人を突破したことも明かした。
それらのゲームには、「Mini Ninja」の開発元であるスクウェア・エニックスの作品や、「Moai」で構築された「Wolf Toss」、数々の業界賞を受賞したSupergiant Gamesの「Bastion」(Chromeブラウザのみ)、「Unity 3D」ゲーム構築エンジンなどが含まれる。ゲームデザイナーのAmir Rao氏は約100人の開発者とGoogle従業員、ジャーナリストで構成される観衆に対し、Native Clientを利用してChrome内で動作する「Bastion」を披露した。それを見る限り、ゲームプレイは滑らかで、グラフィックスは極めて精細だった。Chromeのタブ内でプレイされていたことを除けば、まるでコンソール上で動作しているように見えた。
GoogleのNaCl担当製品管理ディレクターであるIan Ellison-Taylor氏によると、NaClとも呼ばれるNative Clientは現状でブラウザのパフォーマンスを2~10倍に高めることができるという。Googleはパフォーマンスおよびセキュリティ面の理由からネイティブアプリケーションをウェブ上に移すこと、そして普及率が高く、長期にわたって使われているプログラミング言語をウェブ上にもたらしてウェブエコシステムをリッチにすることを望んでいる、と同氏は述べた。
NaCl担当エンジニアリングマネージャーのErik Kay氏が観衆に話したところによると、社内NaClチームはオープンソースコミュニティーと密接に連携しており、外部からの貢献も受け入れているという。
GoogleのNaCl担当プロダクトマネージャーであるChristian Stefansen氏は、NaClではあらゆる種類のアプリケーションが上手く動作する、と説明した。同氏によると、それにはハードウェアアクセラレーションを利用するゲームや写真加工、3Dモデリング、ビデオトレーニングソフトウェア、CADが含まれるという。
NaClは現在、ハードウェアアクセラレーションによる3Dグラフィックス、サンドボックス内に格納されたローカルファイルストレージ、ダイナミックローディング、フルスクリーンモード、マウスキャプチャに対応している。Kay氏によると、その目的は「Pepper」によってHTML5開発を追跡することだという。Pepperには、Native Clientで利用されるブラウザのAPIが含まれている。それが必要なのは、NaClにはウェブと通信するための手段がほかにないからである。
Googleはスケジュールについて何もコミットしなかったものの、Ellison-Taylor氏は、Portable NaCl(PNaCl)の社内ベータテストが進行中で、パブリック版が2012年に予定されていることを明らかにした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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