仕事をする上で、人と出会いコミュニケーションをとっていくことは重要だ。しかし、カフェなどを転々として仕事をするようなスタイルでは、コミュニケーションはとれるかも知れないが、集中して作業をするには向かない。西麻布にある「NOMAD NEW'S BASE」は、そんな仕事の場所を探す現代の遊牧民たちにうってつけの場所だと言える。
「NOMAD NEW’SBASE(NOMAD)」を運営するのは、nomad代表取締役の小笠原治氏だ。小笠原氏は、さくらインターネットの創業者の1人。当時から京都に大学生向けのバーを開き、専用線を引いてネット環境を整えることなどをしていたという。さくらインターネットを離れたあとは、携帯電話や動画のコンテンツ制作を手がけると同時に、編集プロダクションで情報誌の制作にも関わった。
まだADSLすらも普及していない10数年前。高速なネットの回線がつながる場所があまりなかったことから、オフィスの一部を技術者たちに解放していた。「紙媒体が主流の時代だったが、今後ウェブが面白くなってくると感じていた。だからこそ紙媒体に携わっている人とウェブに興味がある人たちを集めて、新しいアイデアやサービスを生み出して欲しかったというのが最初。よく考えれば昔からやっていることは変わらないんです」と、自身の原点について語る。
その後、Wi-Fiアクセスポイント設置など回線事業に携わっている中で、カフェなど不特定のオフィス以外でパソコンを使用して作業する人たちの増加を実感していたのだという。そんな時に「コワーキング」という働き方を知り、スタートアップを支援する場所としてNOMADを立ち上げることを決めた。
「僕自身がノマド的に色々な場所で作業することが多かったため、Wi-Fiが使える場所はすごく重要。だから自分自身のためにも作りたいと感じていた」(小笠原氏)。同氏は「awabar」というスタンディングの飲食店を経営しているが、「立ち話をしながら気軽にお客さん同士でがつながり、ビジネスできる場所ができたらいいという思いもあった」(小笠原氏)
3階建てのスペースは、月額1万円から利用できる。東京都外在住者は月額5000円から利用できる。席数は利用形態によって60~80席程度。1階は会員以外の人にも打ち合わせで利用できるよう、1日1000円のドロップインも用意している。2階と3階は会員専用のスペースとなっており、2階は集中して作業をおこなうデスクスペースと複数人向けの作業スペースがある。3階はイベントやセミナーの場としても利用できるスペースを用意。普段は会員同士がコミュニケーションをとって作業できるようにしている。
作業スペースではモニターの貸し出しなどもする。また1階と2階には打ち合わせスペースも確保する。3階のイベントスペースはテーブルなどを自由に組み替えることができるため、様々な利用形態に応じた対応が可能だ。スペースを積極的に提供していき、勉強会やセミナーなどを開催するという。利用者同士が交流を図れると同時に、知識やノウハウの共有や学習などをおこなうことで、ビジネスに対する支援をしていく。今後は、3階で飲食も提供する予定だ。「限定ランチ、ディナーなんかがあると、コミュニケーションが進むじゃないですか。僕たちは飲食のノウハウがあることも強み」(小笠原氏)
小笠原氏が日頃意識している思いがある。「コワーキングスペースに限らず、ビジネスをおこなっていく上で『シェア』『オープン』『コネクト』の3点を大切にしていきたいと考えている。僕たちだけでなく、利用者にもオープンマインドで利用してもらい、様々な意見を言って欲しい。その中で、変えられる部分は変えていき、使いやすいようにしていきたい。そして、様々な分野の人たちとコネクトしながら(コワーキングに)取り組んでいきたい」(小笠原氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」