Googleは、JPEGの代替となることを目指す画像フォーマット「WebP」を改良した。この最新版は、ウェブ上で普及しているもう1つの画像フォーマットPNGにも対抗しようとするものだ。
WebPはGoogleの動画エンコーディング技術「WebM」で採用されているオープンソースの圧縮技術をベースにしており、GoogleはWebPによってウェブページのファイルサイズを小さくすることで、インターネットを高速化したいと考えている。WebPには多くの課題があるが、Googleは今回、2つの主要な機能を追加してこの技術の競争力をさらに少し高めた。
1つは、画質を損ねることなくデータを忠実に再現できる「ロスレス」圧縮(可逆圧縮)のオプションだ。もう1つは、デザイナーが画像の一部の透過度を指定できる「アルファチャンネル」のサポートだ。
これらの機能は、背景の上に単純な形状の画像を重ね合わせただけではないビデオゲームのグラフィックスやユーザーインターフェースのアイコンなどのオブジェクトで役に立つ。現代のデザイナーは、JPEGとPNGの間で選択を迫られる場面が多い。JPEGがアルファチャンネルをサポートしていないのに対し、PNGはこれをサポートするが、多くの場合において画像の圧縮率はJPEGほど高くない。
GoogleのプログラマーであるJyrki Alakuijala氏、Vikas Arora氏、Urvang Joshi氏は、米国時間11月17日付のブログ投稿で次のように述べている。「通常JPEGでエンコードされる写真画像は、WebPの非可逆圧縮モードを使うとファイルサイズがJPEGよりも小さくなる。同じように、アイコンやグラフィックスは、PNGよりもWebPの可逆圧縮モードでエンコードした方が良い結果が得られる。WebPの非可逆圧縮モードでアルファチャンネルを適用すれば、視覚的な劣化を最小限に抑えながら、ファイルサイズがはるかに小さい透過画像を作成できる」
またWebPは、ネット上の特異なニッチにアピールできるかもしれない。それはGIFアニメーションを利用する人々だ。GIF画像を使うと簡単なマルチフレームの動画を作成できるため、これを利用する人々の存在がこの徐々に衰退しつつある画像フォーマットの維持につながっている。ただし、WebPによるアニメーションのサポートは依然として開発中の段階にある。
とはいえ、新たな画像フォーマットを普及させるのは難しい。Microsoftは長年にわたり、当初「Windows Media Photo」という名称だったが現在は「JPEG XR」として標準化されている画像フォーマットに取り組んでいる。JPEG XRも、JPEGより高い圧縮率、アルファチャンネルのサポート、可逆圧縮モードを提供するが、実際にはあまり普及していない。
JPEG XRが足がかりを得た分野の1つは「Adobe Flash Player 11」だ。
興味深いことに、MozillaがJPEG XRの検証に着手しており、「Firefox」でサポートする可能性を検討している。
ウェブ向けの3Dグラフィックス技術である「WebGL」を扱うプログラマーたちも、圧縮技術とアルファチャンネルのサポートという組み合わせを求めているようだ。
GoogleはWebPを広く普及させようと意欲を見せている。だがMozillaは、「『ウェブプラットフォームの一部』となるすべての画像フォーマットからは常にコストが発生する」懸念があるとして、Googleより慎重な姿勢を示している。
WebPの将来性は、これが標準になっていないという事実によって損なわれる可能性もある。カメラメーカーや新しいファイル形式のサポートを検討している人たちにとって、標準であることは安全な選択肢だ。
それでも、Firefoxや「Opera」ブラウザはGoogleの影響下にあるWebM規格の動画をサポートしている。またGoogleは、WebPおよびWebMの改良を続けており、エンコードとデコードの高速化や画質の向上を図っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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