UPDATE Googleの「WebM」テクノロジには、ウェブベースビデオを変革するという以上の計画があったようだ。同社は、「WebP」と呼ばれる新しいフォーマットによって、ウェブ上の静止画像も変革したいと考えている。
Googleは米国時間9月30日、新しいグラフィックスフォーマットWebPと、これを使用することにより、現在主流のJPEGファイル形式と比べて、画像ファイルのサイズを約40%縮小できるという同社の研究結果とともに発表した。これにより、ファイル転送はより高速になり、GoogleがWebPの普及に成功すればネットワーク負荷が低下することになる。
WebPは、JPEGと同様に、ユーザーが画質と引き換えにファイルサイズを圧縮することができる。また、こちらもJPEGと同様に、「lossy」なフォーマットであり、元の画像を完璧に再現することはしないが、人間の目で見た場合に、できる限り元の画像に近い状態を保つことを目的とする。
しかしJPEGとは異なり、現在存在するすべてのカメラ、ウェブブラウザ、画像編集プログラム、ドラッグストアの写真印刷ショップ、主流なOSに組み込まれてはいない。しかし、それであきらめるGoogleではない。同社のWebPによる目標は、JPEGに取って代わることというほど高くはないにしても、非常に高い。
Googleの「ウェブの高速化」に向けた取り組みを担当するリード製品マネージャーを務めるRichard Rabbat氏は、「画像を何枚か取り込み、その現在の損失の多いフォーマットからWebPへと再圧縮すると、サイズが平均で約40%減少した。これは驚異的な結果である」と述べた。「ウェブ上のバイト数の65%が画像である」というGoogleの見積りを考えると、それだけ大幅に画像を圧縮することは、非常に重要な意味を持つと同氏は述べた。
JPEGの存在は非常に大きい。Microsoftは何年も前から、それに代替し、現在では標準化されているロイヤリティフリーの「JPEG XR」フォーマットを推進しようとしてきた。JPEG XRの方が、ダイナミックレンジが広く、色調範囲が広く、圧縮効率が高い。しかし、これまでのところJPEG XRは、標準化と、「Internet Explorer」および「Windows」におけるネイティブサポート以外には、たいした進歩を遂げていない。また、それ以前の試みであるJPEG 2000も、JPEGの人気に影響を与えることがさほどできていない。
Googleは、Microsoftと同様に、自社のグラフィックスフォーマットの推進は長い取り組みになることを理解している。
「とてつもないチャレンジだ」とRabbat氏は述べた。「非常に長い取り組みになると予測している」(Rabbat氏)
同社はその取り組みを、ウェブを高速化するというGoogleの目標を共有するブラウザメーカーに話を持ちかけることによって開始した。「WebPのサポートについて、他のブラウザベンダーと話し合っている」と同氏は述べた。「まずは、これをウェブ上に広めたいと考えている」(Rabbat氏)
WebPは、Googleのオープンソースでロイヤリティフリーのビデオエンコーディングおよびデコーディング技術であるWebMから派生したものである。圧縮効率が高いという測定結果は、Googleがウェブから取り出した100万枚の画像サンプルから得られたものである。そのうち、約90%がJPEGであり、Googleのテスト結果からは、WebPが、40%小さいファイルサイズで同レベルの画質を提供することがわかった。残りの10%は、PNGやGIFなどのフォーマットで、これらは、写真を中心とするJPEGとは異なり、ロゴなどのイラスト画像に使用されることの方が多い。
GoogleはWebPソフトウェアをリリースすることにより、ユーザーに自ら画質を判定してもらう計画である。最初は、グラフィックスをWebP画像に変換するユーティリティなどを提供する予定だが、長期的には、Googleの「Chrome」ブラウザでサポートすることが、おそらくはさらに重要な計画である。
「数週間以内に、ChromeでWebPをネイティブサポートする予定である」とRabbat氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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