懇談会の構成員で大阪大学・大阪学院大学名誉教授(情報経済研究所所長)の鬼木甫氏は、今回事務局が示した報告書案に対する修正案を含めた意見書をあらかじめ用意していた。その中で、法的地位の有効期限について「免許付与後、事業不振に伴う再編の必要性、逆に高収益継続による超過利潤・独占利潤が生まれるなどのさまざまな経過が考えられることから、予告期間を設けた上で事後の期限設定を可能にすることが適当ではないか」との見解を示した。
また公正競争の確保について、既存事業者が比較審査によって割り当てられた周波数を保有している場合に、新規事業者との競争で大きな不公平が発生することから、この弊害を防止する必要性を示唆した。鬼木氏は9月26日に行われた懇談会において、既存事業者がすでに割り当てられている帯域を新規事業(4Gなど)に用いた場合には、オークション対価相当を新たに納入し直すべきとする「イコール・フィッティング方式」を提案している。
転売などの二次取引の有り方については、エリア・人口カバー率の義務付けによって、投機的理由のオークション参加を防止するなどの制限を推奨する一方、事業不振による転売が電波の有効活用という観点から必要と考え、「当初免許条件の範囲内で転売・賃貸を認めるなどの柔軟性を持たせるべき」と指摘。報告書骨子案にある「現行の電波法制度でも認められている事業譲渡に伴う承継の範囲で認める」との表現を緩めるべきとの考えを示した。
また今後の進め方について、さしあたり3.4~3.6GHzを対象として制度設計することに異論はないとした上で、2015年前後に供与が見込まれている700/900MHz帯に関してもオークションを導入するべきとの持論を展開。「700/900MHz帯といった価値の高い周波数帯を、従来方式で割り当てているケースは先進国では絶無であり、諸外国からの笑い物になる」とし、懇談会においてもその必要性を追求すべきと強く主張した。
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