--残された時間が少なくなっていたために、達成できないとJobs氏が感じていたことは何かありますか。それは新製品でしょうか。Appleの方向性でしょうか。
Isaacson氏:すべてを本に書いたわけではありませんが、Steveが美しくかつ直観的操作が可能な、iPad的なテレビを作りたがっていたことには触れています。Steveからもこの話はたくさん聞いており、本に書いています。ほとんど違いから、それを解読する方法をいくつか考えていると感じていましたが、判断は困難です。Steveの頭にあったアイデアのいくつかは本に載せませんでしたが、そのことには触れています。
Steveは教育や教科書に興味を持ち、テクノロジをそれら分野にどう利用できるかを考えていたように思えます。
--そのテレビの話はどれくらい進んでいたのでしょうか。Jobs氏との話のなかで、何かヒントはありませんでしたか。
Isaacson氏:進展も何もありません。Steveは、これは非常に理論的なものだと言いました。これらは将来に考える理論的なものでした。
--この本の読者がJobs氏について最も驚かされる部分は何だと思いますか。
Isaacson氏:彼の個性の全体的な統合とわたしが呼ぶものです。それはSteveが乱暴であったり天才であったりするためだけでなく、空想的な面とエンジニアリングの面を融合させていたためです。そしてその方法は、たとえ奇異に見えても、Steveの完全を求める情熱という統一場理論に適合しているのです。この完全を求める情熱は人を驚かせるでしょう。家庭生活においてであろうと私生活においてであろうと、Steveは最後には人々を自分の支持者にしてしまうのです。
--あなたにとって驚きだったものはありましたか。
Isaacson氏:Steveがいかに感情豊かな人物であったかということです。それは情熱から生まれるものです。あなたのように、わたしは感情をむき出しにしない、テクノロジ業界人との付き合いには慣れています。そして、Steveが感情豊かなエンジニア気質の持ち主であるということです。感情的につながる彼の意思と能力は、わたしの予想よりも強いものでした。
--Jobs氏はAppleの未来と自分が遺すものについてどう感じていたのでしょうか。
Isaacson氏:遺したものは大きなものでした。すばらしい本社を建設し、比類なき情熱をもって一流プレーヤーのチームを産み出しました。わたしが「あなたの原動力は何か」と何度尋ねても、Steveはこう答えるでしょう。今から一世代後のテクノロジの歴史の一部となる一流プレーヤーのチームを創りたかったのだと。なぜなら、そのチームは心に創造性とテクノロジを融合させる能力を持っているからだと。これがSteveの大いなる情熱でした。
CEO職を辞したとき、Steveは役員室で他の役員たちと話をしていました。そして誰かがHewlett-Packard(HP)がPC市場から撤退する話を持ち出し、人々は何となく笑い出しました。するとSteveは非常に重苦しい表情になり、その後、実に恥ずべきことだと語りました。なぜなら、Bill Hewlett氏とDavid Packard氏は何世代も生き残ってゆくよう運命づけられたというべき実に偉大な会社を創ったが、それこそが自分がAppleで行おうとしていることだからだと言ったのです。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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