Steveのデザインに関する要求は、関係者の気が変になるほどのものだった。黒の影の部分が十分に黒くないなどと言っていた。普通の人なら、黒は黒、ごみ箱はごみ箱と考える。Steveは完璧主義者であり、そして正しかった。一部の人々はデザインのことを気にかけ、多くの人は少なくともそのデザインを感じ取る。すべての人ではなくても、重要な人たちはそうだ。
Steveのスライドを見てほしい。フォントは60ポイントだ。通常、1つの大きなスクリーンショットや図があるだけだ。テクノロジ分野におけるほかの講演者(Steveの講演を目にしたことのある人も含めて)のスライドを見てほしい。フォントは8ポイントで、図はない。非常に多くの人が、Steveは製品発表にかけては世界一だったと言う。Steveのスタイルを模倣する人があまりいないことを不思議に思わないだろうか。
Appleが最初に「iPhone」を出荷したとき、アプリなどというものは存在しなかった。Steveは、アプリについて、自分の携帯電話にどのような影響を及ぼすか分からない悪いものだと断言した。「Safari」ウェブアプリが推奨されていたが、6ヶ月が過ぎる頃にはSteveが決断して、あるいは誰かに説得されて、アプリに注力すべきだとなった、当然のように。まったく!Appleは短い間に、Safariウェブアプリから「それのためのアプリがある」というところまで大きな進展を遂げた。
価格を基にすべてを決めている人には、苦痛だろう。価格だけを基準に競争しているのだとしたら、さらに苦痛かもしれない。価格だけが重要なのではない。少なくとも一部の人にとって、重要なのは価値だ。そして価値を計るときには、トレーニングやサポート、そして作られたものの中で最高のツールを使うことの本質的な喜びも考慮される。価格の安さを理由にApple製品を買う人など誰もいないと言っても間違いではないだろう。
実際には、一流のプレーヤーは一流のプレーヤー、すなわち自分と同じくらい優秀な人を雇う、というのがSteveの信念だった。筆者はそれを少し修正した。一流のプレーヤーは自分よりもさらに優れた人を雇う、というのが筆者の理論だ。しかし、二流のプレーヤーは優越感に浸れるように三流のプレーヤーを雇い、三流のプレーヤーは四流のプレーヤーを雇うのは明白だ。二流のプレーヤーを雇い始めたら、その組織内では、Steveが「無能の連鎖」と呼んだ現象が発生すると考えていい。
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