そしてAmazonのSilkの求人情報ページによると、同ブラウザはウェブサーバへの接続の高速化のためにGoogleの「SPDY」プロトコルを使用しているという(同ページを見ると、Silkが「WebKit」ブラウザエンジンを使用していることも分かる。「iOS」の「Safari」とAndroidのブラウザの基盤という同プロジェクトの役割を考えると、これは意外なことではない)。
高速化には、インターネットへの非常に高速な接続が可能なAmazon Web Services(AWS)も利用されている。Amazon Silkに携わっている著名なエンジニアのPeter Vosshall氏は、「われわれは非常に優れたネットワークを使っている。われわれのバックエンドは、現存するものの中で最も広帯域なインターネットへのパイプをいくつか備えている」と述べた。AWSはウェブサイトのデータを直接ホストすることまである。その場合は、ネット上のほかの場所からウェブサイトデータを取得する必要さえない。
筆者が不安を覚えるのは、Amazon SilkのプリンシパルプロダクトマネージャーであるBrett Taylor氏がタブレット上でのブラウジングについて、「大量の高負荷データの処理を必要とするものではない」と話していることだ。
確かに今日のタブレットの処理能力は、ノートPCやデスクトップマシンよりも劣っている。しかし、データの処理は新時代のウェブアプリケーションの大きな部分を占めている。ウェブ版の「Angry Birds」で使われているアニメーションはその一例だ。ウェブアプリケーションはまた、新しいアイテムを表示できるようにスクロールするタイムラインや友達がチャットしたがっていることを通知するポップアップメッセージ、最新のメッセージが届くと更新される受信箱など、さまざまな機能を備えてますます活発になってきている。そして、オフラインのウェブアプリケーションが処理する作業のすべてについては、定義上はAmazonのクラウドが利用できないことを意味する。
これは、処理作業の多くがほかの場所で実行されるプロクシベースのブラウジングで実現するのが難しいことの典型的な例だ。より強力なハードウェアの登場によって、Amazonがアップデートを行えるようになるのは間違いないが、同社のアプローチの一部は少し後ろ向きであるように筆者には思える。
プロクシ経由のブラウジングには、サードパーティーがユーザーのブラウジング行動に割って入るという別の一面もある。それは多くの点で役に立つ仲介者かもしれないが(例えば、速度は重要だ)、仲介者であることに変わりはなく、ユーザーはなにがしかの厄介事を抱えることになる。
その理由は、Amazonがユーザーに代わってウェブをブラウジングしていることにある。ユーザーに代わってサイトを訪問しているので、ユーザーが訪問するサイトも把握している。
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