小売およびクラウドサービス大手のAmazon.comは米国時間9月28日、複数の発表を行ったが、その中には発売予定の「Android」搭載タブレットに搭載される新たなウェブブラウザで、ブラウザ市場に参入するというニュースもあった。
この新ブラウザは「Amazon Silk」という名称で、特に既存のデスクトップまたはノートPC上よりもハードウェアの動作が遅くなりがちな携帯端末上で、ウェブブラウジングを高速化するための最新の試みだ。Silkはさらに、ユーザーがウェブをブラウズする傾向を学習するほか、負荷の高い作業の一部をクラウド上に置くことでバッテリ寿命を延ばすことができると、Amazonでは述べている。
Amazonでは、携帯端末において生じうるハードウェアの能力不足を補うため、ブラウザの背後で同社の巨大なクラウドサービスインフラを活用している。「Kindle Fire」タブレットはデュアルコアプロセッサを搭載するものの、Amazonによると、ユーザーはデスクトップ上で得られる程度の速度を期待するようになっており、これはモバイル機器上では必ずしも実現されていないという。
Amazonのソリューションは同社が「スプリットブラウザ」(分割されたブラウザ)と呼ぶもので、この方法では一部の作業をローカル処理する一方、「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)も活用し、端末が直接処理を行うよりも高速にコンテンツを処理し、提供するという。
このアプローチは、ノルウェーのオスロを拠点とするOpera Softwareのアプローチに似ている。同社は2005年に「Opera Mini」ブラウザを公開した。Amazonと同様、Opera Miniも、一部のページで必要な負荷の高い処理はOperaのサーバ上で行うが、容量の大きいページは圧縮することによってモバイルデータの消費を減らすとうたっていた。
Amazonによると、ローカルハードウェアと同社のクラウドサーバの作業分担を決定する処理は完全に自動であり、ユーザーからは見えないところで行われるため、特別な設定は不要で、ソフトウェアが何をしているかを把握する必要さえないという。この技術はまた、端末の接続性の状態や、ウェブページのコードについても考慮し、クラウドサーバとの比較で端末のプロセッサにどれだけの処理を行わせるかを判断する。これがバッテリ寿命の改善につながるとAmazonは述べている。
さらにAmazonによると、Silkは同社が小売サイトで採用しているのと同じ技術を使ってユーザーの利用傾向を学習し、アクセスする可能性のあるページを判断して、ユーザーがクリックする前にそれらのページを取得できるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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