先週、「Windows 8」のリリースに向けた新たな動きがあった。MicrosoftのOSの次期メジャーバージョンとなるWindows 8では、同プラットフォームの歴史の中でも最大級の変更が施されている。
Microsoftは米国時間9月13日、BUILDカンファレンスの壇上で、2時間以上を費やしてWindows 8のことを詳しく説明した。このOSが消費者向けに発売されるのは2012年になる見通しだが、売れ筋(と好み)がデスクトップからノートPC、そしてタブレットやスマートフォンなどのポータブルデバイスへと変遷している業界に対して、MicrosoftがWindows 8をどのように位置づけているのかがはっきりと見えてきた。
簡潔に言うと、Windows 8は、そうした広がり続ける環境へのMicrosoftの重要な回答だ。Windows 8はほぼすべてのマシンに搭載可能な製品で、状況に合わせてインターフェースを適応させていくという。それこそが、MicrosoftとAppleのコンピューティングに対するビジョンの最も大きな違いの1つである。Appleは、Intelベースの同社マシン向けのデスクトップOSはそのまま維持しながら、同社のポータブルデバイス向けに別のOSを開発した。
そうした分離は消費者のOSに対する受け止め方、特にどれだけ頻繁にOSがアップデートされ、ハードウェア購入から何カ月、何年後に新機能が提供されるかについて、極めて大きな変化をもたらした。AppleはOSを2つに分けることで、「Mac OS X」のアップデートを通常のペースで提供し続けながら、もう一方の新版を出すペースを加速し、毎年のようにメジャーリリースを公開できるようになった。ここで、Windows 8搭載タブレット向けに設計された、タッチ用途に適したユーザーインターフェース(UI)である「Metro」について、アップデートのペースをWindows 8とどのように関連させていくのかという大きな疑問が浮上する。
Microsoftは伝統的にWindowsの新版を数年ごとにリリースしてきたが、昨今のタブレットユーザーはもっと頻繁な機能アップデートに慣れている。「iPad」を見れば、それがよく分かるだろう。iPadは発売当初、マルチタスキングなど「iPhone」に搭載されている機能のいくつかを欠いていたが、後日、ソフトウェアアップデートによってそれらの機能が追加された。「Android」ユーザーにも同じような未来が予定されており、追加のソフトウェアアップデートの提供が約束されている。
相対的に、Microsoftはそうした大規模な機能アップデートを次のメジャーリリースまで残しておき、有料で提供してきている。Apple陣営の開発者たちには、ソフトウェアアップデートの登場に頼ることのできる基盤となるサイクルができあがっている。Mac OS Xの開発者は数年おきのメジャーアップデートを予期するようになり、iOSは毎年のアップデートが期待されている。
だが、Windows 8にとってこれは何を意味するのだろうか。メジャーアップデートを数年おきにリリースするという、利益の多い伝統が今後も続き、Metroインターフェースは放置されるのだろうか。それとも、Microsoftは最近の流行を追ってアップデートの頻度を上げるつもりなのだろうか。そこには、単一のパッケージですべてを提供しようとすることの潜在的な短所が存在する。また、Windows 8のMetroインターフェースが、これまでのところ頻繁にアップデートされているMicrosoftの「Windows Phone 7」ソフトウェアとどれだけ密接に連携するのかも興味深い。
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