楽天は8月10日、電子書籍ストア「Raboo」を開設した。あわせて、同日パナソニックより発売される電子書籍端末「UT-PB1」向けにコンテンツの配信を開始した。
サービス開始時点では、UT-PB1向けにのみコンテンツを配信する。小説やエッセイ、ビジネス書など96社約1万5000タイトルをラインアップ。フォーマットはXMDFのみだが、今後は今秋以降には.bookやEPUBにも対応していく。8月末にはPC版サービスを開始する予定であるほか、ソニー製Android端末への展開も予定する。iOSについては対応を検討するとしている。
電子書籍サービスとしては最後発となるRabooだが、楽天 イーブック事業 事業長の谷口昌仁氏はその特長について、(1)著名な作家、人気の書籍を先行配信、(2)気になる本は、中もチェック、(3)いつものお買い物と同じように――という3つを掲げる。
同社サービスの特長として挙げた3項目を説明した谷口氏によると、楽天ブックスのトップ1000タイトルのうち、電子化されているものは10%未満だという。Rabooでは今後、出版社やシリーズ単位でなく、人気のあるタイトル単位で電子書籍化を進める。「タイトル(の数)をそろえるのも重要だが、紙の書籍の『売れ筋』を電子書籍化することが重要」(谷口氏)
2点目は電子書籍の中身を試し読みできることだ。楽天では2010年秋に試し読み機能の「チラよみ」を開始しているが、同サービスに対応するタイトルは、非対応のタイトルの売上を約40%上回ったという。「ユーザーはまず中身を見たい。そして気に入ればすぐに買いたいと思っている」(谷口氏)
そして3点目は、電子書籍をこれまで紙の書籍を購入していたのと同じように購入できることだという。楽天の会員IDで電子書籍を購入し、ポイントを獲得。さらにそのポイントを使用することも可能だ。
価格は1タイトル100円からとなっているが、紙で出版されてから時間のたったタイトルの場合「(紙と比較して)平均で2~3割引程度」(谷口氏)になる見込み。新刊などは紙の定価同様となるケースも見込まれるが、同社のポイントキャンペーンを実施して、「実質上の割引をするということはあり得る」(谷口氏)とした。
今回パナソニックから発売されたUT-PB1は、7V型1024×600ピクセルの液晶を備えるAndroidベースの電子書籍リーダー。130万画素のカメラや8Gバイトの内蔵メモリを備えるほか、外部メモリとしてmicroSDおよびmicroSDHCに対応する。ブラウザやメールなど16種類のアプリを搭載するが、アプリの追加には対応しない。本体サイズは高さ206.0mm×幅133.0mm×奥行き13.9mmで、重さは約400g。
楽天とパナソニックは6月、紀伊國屋書店、ソニーとともに電子書籍の利便性向上に向けた取り組みを推進すると発表している。Rabooもこの取り組みのもと、共通IDを使った複数電子書籍ストアの相互利用やコンテンツの一元管理といった機能が提供される予定。詳細については、現在仕様を検討しているところだという。
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