カリフォルニア州エメリービル発--車に反射する光や波打つ海がどのように見えるかは誰でも知っている。だから、もし「カーズ2」にでてくるものを見て、Pixarが初の実写映画を制作したのではないかと思ってしまったら、もう一度よく考える必要がある。
多くのヒット作を世に送り出しているPixarは、その新作映画の多くでテクノロジの新境地を開拓してきた。そして、米国時間6月24日に公開された「カーズ2」も例外ではない(日本では7月30日に公開予定)。Pixarの技術者は「カールじいさんの空飛ぶ家」で実際の物理法則に従って動く多数の風船を表現し、「トイ・ストーリー3」では上下左右に揺れるプラスチック製ゴミ袋に本物と同じように光を反射させた。そしてPixarは再び同社のコンピューティング能力を限界まで高め、その限界をはるかに超越した。
「カーズ2」の監督でWalt Disney Animation StudiosのチーフクリエイティブオフィサーでもあるJohn Lasseter氏がサンフランシスコで先ごろ開催されたイベントで指摘したように、Pixarは同作で、一般的な視覚効果を処理する新しい方法をいくつか発明した。発明のための発明はPixarの流儀ではないが、それは同社の新作映画を作る作業には付きもののようである。
新しい視覚効果を作り出すのは安いものではない。「カーズ2」のスーパーバイジングテクニカルディレクターを務めたApurva Shah氏によると、Pixarは同作品の新しい視覚効果に必要なコンピューティング能力を得るために、同社の伝説的なレンダーファームの規模を3倍に拡大しなければならなかったという。ただし、Pixarが今後の作品でも、その優れたコンピューティング能力を現状のまま使い続けると考えてはいけない。新しいプロジェクトに取り組むたびに技術水準を上げるPixarの傾向を考えると、さらに多くの新しいDell製レンダーブレードが近いうちにPixar本社に運び込まれる可能性が高い。
2006年、「カーズ2」のチームメンバーは制作の着手にあたり、同作の最重要シーンの1つが海に浮かぶ石油掘削施設の周辺で展開するため、大海原の表現方法を強化したいと考えていた。Pixarはすでに「ファインディング・ニモ」の水中の視覚表現で、業界を新たな方向へ導いている。しかし、Shah氏のオフィスで行われた同氏のインタビューによると、チームは今回、波打つ海面を表現するための現行の業界最高技術にさらなる磨きをかけたいと考えたという。
Shah氏の説明によると、Pixarは「ファインディング・ニモ」で「穏やかな水面」を作り出したが、「カーズ2」の石油掘削施設のシーンでは、制作メンバーは観客がもっと波立った、荒々しい水の様子を期待するだろうと考えたという。
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