映画「カーズ2」の新技術--ピクサーが魅せるデジタルアニメーションのさらなる高み - (page 3)

Daniel Terdiman (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年07月29日 07時30分

 Shah氏は、映画に登場する車のシェーディングや反射のデザインというのは、例えば、人間には肌があるように、車には「こうした美しい透明塗料の塗装がされていて、光の反射によって車の輪郭を際立たせている」という考え方に基づいていると述べている。

 Pixarは第1作目の「カーズ」でも、シェーディングや反射に最新のテクノロジを使用していたが、「カーズ2」では、アーティストたちには自由に使える新しいツールを手にしていた。重要な進歩の1つは、「光沢や輝きを与える金属フレークが混ざっている」ような「塗料」をデザインできるようになったことだとShah氏は説明する。「カーズ」では、そうした金属フレークは定着せず、うまく作用しなかっただろうとShah氏は言う。

 反射の表現に使われるテクノロジも、新作ではさらに改良されていて、Shah氏によれば、車に「これまで実現できなかった、実に美しい、あふれるばかりの光沢」を与えているという。この点が重要なのは、映画の中でフィン・マックミサイルやほかの車たちは最高級の塗装を施されており、それがスクリーン上でまぶしく輝く必要があるからだ。

 「われわれはこのために、より細かい部分でもかなりうまく反射を表現できる、別の数学的表現を考え出した」(Shah氏)

ガトリング砲の物理

 普通の人は、ガトリング砲から発射される弾丸の物理的特性がどうなっているのかを知らないかもしれない。しかしそうしたシーンが適切に描かれていなければ、それに気づく可能性は高いだろう。

 Shah氏は、ちょうどそのようなシーンが「カーズ2」の別の部分にあると説明する。そのシーンでは、弾丸が発射される耳障りな音、えい光弾、煙、物体に命中する弾丸などが登場する。そしてそのシーンをスクリーン上でもっともらしく見せるために、Shah氏のチームはここでも物理学を活用した。

 Shah氏は、Pixarが映画「カールじいさんの空飛ぶ家」での風船のシーンで行った作業を思い起こし、このシーンでは結局、ビデオゲームを参考にする必要があったと述べている。このアプローチは、リアルタイムシューティングゲームのアイデアから生まれたものだという。そうしたゲームでは、プレーヤーは銃の引き金を引いて、ありとあらゆる方向に発射する。それには、何が起こるのかを決めるために、優れた物理エンジンが必要になる。「それができるように、独自の小さな(仮想)世界を構築した」(Shah氏)

この画像では、「Pixarが「カーズ2」のために作り出した反射効果が含まれている。東京の明かりがライトニング・マックイーンに車体に反射している。
この画像では、「Pixarが「カーズ2」のために作り出した反射効果が含まれている。東京の明かりがライトニング・マックイーンに車体に反射している。
提供:Disney/Pixar

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