Pixar Animation Studiosは米国時間6月18日、同スタジオ11作目となる劇場映画「トイ・ストーリー3」を米国で公開した(日本での公開は7月10日)。Pixarのすべての新作映画は、莫大な興行収入をあげる機会であるのと同時に、デジタルアニメーション分野でのコンピュータ活用技術で新境地を開拓するためのチャンスでもある。
古くからのPixarファンにとっては、同スタジオのコンピュータ活用技術の進化は、もうすっかりおなじみのものになっているはずだ。Pixarは「ファインディング・ニモ」で、テクノロジを活用してリアルな水中シーンを作り出す方法を考え出さなければならなかった。「モンスターズ・インク」のときは、キャラクターの豊かな体毛をアニメーションで動かすという難題が持ち上がった。「カーズ」では、巨大なスタジアムに集まった30万人の観客1人1人に手動でアニメーション処理を施すという事態を避けるため、プロシージャルアニメーションをどう活用するかを決める必要があった。そして、2009年のオスカー受賞作「カールじいさんの空飛ぶ家」では、主人公の家を持ち上げる数千個のヘリウム風船について、1つ1つに手動でアニメーション効果を施すことなく、実際の物理法則に従って動いているように見せるという課題に直面した。
「トイ・ストーリー3」のプロデューサーであるDarla Anderson氏は、「Pixar映画の最大の目標は、作品の感情と物語に没頭してもらうことで、特殊効果について考えてもらうことではない。(特殊効果に)気づくのは5回目に観るときであってほしいと思う。しかし、ほとんどの場合、われわれは観る人を楽しませて、夢中になってもらうことだけを望んでいる」と述べた。
素晴らしい「トイ・ストーリー3」で、Pixarは再び専門知識を駆使して、コンピューティング分野の非常に大きな問題の解決に乗り出した。通常の方法では不可能と思われるアニメーション処理をテクノロジによって実現するという問題だ。この新作映画の場合、難しかったのはゴミ処理施設内のシーンを表現する方法を考え出すことだった。このシーンは、細かく砕かれた膨大な数のゴミがベルトコンベアで先にある巨大な溶鉱炉に向かって運ばれ、作中のメインキャラクター(ウッディ、バズ・ライトイヤー、ジェシー、ハム、レックスなど)がそのベルトコンベアの上を移動するという非常に複雑なものだ。
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