4年前となる米国時間2007年6月29日、Appleの初代「iPhone」が発売された。現在、このデバイスの第5世代の発表を控えた同社にすべての目が注がれるなか、初代iPhoneの発売は、あらためて見てみる価値のある画期的な出来事だ。
iPhoneの登場と成功を振り返って、それがどのような方法で非常にうまくいったのかを知るのは簡単だ。Appleは、「iPod」で用いたのと同じ手法で、ある製品カテゴリーに狙いを定め、独自のハードウェアとソフトウェアを作りだし、最終的に追加のサービスや機能と一緒に販売した。その何よりの証拠が「App Store」だろう。App Storeは当初、Appleのモバイルデバイス向けのサービスだったが、後に「Mac App Store」として、同社のコンピュータを対象とするようになった。
しかし、初代iPhoneが発表された当時、まだ店頭に並ばないうちから、iPhoneは失敗だという意見が多くあった。問題だったのは、価格やハードウェア、機能セット、さらにはAppleがどの通信事業者と組むかといったことだ。しかし何よりも疑問視されていたのは、同社がそうした変化に富んだ新しい分野に進出し、成功できるかどうかだった。
iPhoneはAppleを特徴付ける製品へと成長した。iPhoneはAppleのイメージを、ポータブル音楽プレーヤーをヒットさせ、大人気の音楽サービスを提供しているコンピュータメーカーから、Motorolaのパートナーとして数年前に手を出して失敗に終わった業界で主役を担う企業へと変えた。Appleの最近の会計四半期を見ると、iPhoneは同社の巨額の収入の半分程度を占めている。iPhoneはほかのApple製品にも影響を与えており、その設計思想はAppleのOS「Mac OS X」や、同社のノートブックへと波及している。
以下では、(米CNETも含む)評論家やAppleの競合他社による予測を少しばかり取り上げている。どの評論家も、iPhoneの発表や最終的な発売を前にして、それが消費者や市場にどのように受け止められるかを予想している。
2006年12月7日
米CNETのMichael Kanellos(現在はGreentech Media所属)は、Appleの携帯電話について、発表1カ月前に「大失敗(flop)」と評している。
この携帯電話の売り上げ台数は、当初は急激に増加するだろう。しかし、次第に状況は沈静化し、Appleの携帯電話は、ビデオカメラや携帯電話、ワイヤレスルータなどさまざまなヒット候補製品と一緒に棚に並ぶことになる。「Mac mini」を覚えているだろうか。この製品は小型コンピュータの革命を起こすと考えられていた。しかしそうはならなかった。フラットパネル型の「iMac」はどうだろう。Appleの価格設定によって、ほかの製品の価格もつり上げられるだろうと予測する声もある。なんということだ。
Appleの携帯電話が成功しないのはなぜだろうか。それは素晴らしいハードウェアとなるだろうし、筆者が北米で1番のけちでなかったら、購入するかもしれない。しかし全体的な戦略は、筆者が「iPodマジック」と呼ぶものに基づいている。AppleはiPodで成功して、その方法論を作り上げた。そのため、同社はほかのカテゴリーに入り込んで、それをめちゃくちゃにすることができるのだ。
2006年12月23日
The RegisterのBill Ray氏は次のように推測している。
Appleは1月に携帯電話を発表し、2007年中に発売する予定だ。それはすてきなデバイスで、目を離せない楽しい製品になる。それは機能を制限することで、アクセスや使用が簡単になっている。
Appleの携帯電話は、地域ごとに1社の主要ネットワークと独占契約を結ぶことになり、iPhoneを手にするためだけにネットワークを乗り換える顧客も出てくると予想される。しかしそれは期待されていたほど多くはないだろう。
競争があれば、より高い奨励金を取り決めることになるため、よりよい機能が低価格で提供されるということを顧客は理解し始めている。そのため、販売台数は停滞するだろう。1年後には、新バージョンの発売が予想されるが、それは初代のようなイノベーションに欠け、すぐに姿を消すと考えられる。
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