HPの「webOS」の課題--開発者の関心を集めるには - (page 3)

Erica Ogg (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年03月28日 07時30分

 HPはwebOSの新バージョン登場に際して、サードパーティーアプリケーションのほかにも注目を集める方法を考えている。「HP Synergy」では、テキストメッセージや電子メール、カレンダーをwebOSデバイス間で同期させることができる。同社はまた、「Touch to Share」テクノロジにも大きな期待を寄せている。これは、webOSスマートフォンをTouchPadにタッチすることで、URLの共有などができる機能だ。また、ワイヤレス充電ドック「Touchstone」用のAPIも公開しようとしている。Touchstoneは、その上に置いたスマートフォンの間で、少量のデータを転送する機能も備えるものだ。HPは、開発者がこの機能の新しい使い方を考え出して、そこからアプリケーションを作り出すことに期待している。

 繰り返しになるが、HPの計画は開発者の関心次第だ。そして同社は、webOSが何か新たなけん引力を持つようになるにはしばらくかかることを認めている。Palmは今のところは小規模に展開していく計画であり、Appleとの競争を気にかけることに多くの時間を割くつもりはないと強調している。とはいえwebOSには、Amazon、Yelp、Bank of America、NFLをはじめ、有名企業による人気のメインストリームアプリケーションが数多くある。しかしwebOSは、著名な開発パートナーの関心を取り戻し、パートナーが自社のアプリケーションをアップデートするように仕向けなければならない。アップデートによって、機能が増えたり、機能性が向上したりすれば、ユーザーはそうしたアプリケーションを繰り返し利用するようになる。

例えばEvernoteは、2009年にwebOSストアが企業向けにオープンしたときから、同ストアで提供されている。しかし、Palmがソフトウェアアップデートを定期的に行わず、webOS開発を推進しなかったため、Evernote開発者の関心は薄れ、webOS向けアプリケーションを改良しようと思わなくなってしまっている。

 その上、今はまだ無名というような開発者たちがいる。Johann Kovacs氏は、ドイツのデュッセルドルフで大学に通うかたわら、webOS関連の開発もしている。Kovacs氏が作成した8つのゲームは、「webOS App Catalog」から150万回以上ダウンロードされている。Kovacs氏によれば、そのダウンロード数は2009年のピーク時よりはやや減っているものの、HPのバックアップがあれば、webOSはより多くのデバイスに搭載されるようになり、北米以外の市場にも進出できると期待しているという。Kovacs氏の最大の不満は、米CNETがインタビューしたほかの開発者と同じで、ソフトウェアアップデートが遅いことだ。ほとんどのwebOSスマートフォンは、いまでもwebOS 1.4.5かそれ以前のバージョンを使っている。2010年秋に発売された「Palm Pre 2」は、webOS 2を搭載しているが、このバージョンはまだ、旧モデルのスマートフォンに無線でアップデートできるようにはなっていない。

 近いうちに、webOS関連の開発を行う開発者の数は、iOSやAndroidと同じくらいにまで増えるだろうか。その可能性は低い。そこでHPは、目標を絞り、多くのユーザーを獲得できるアプリケーションに取り組んでいるサードパーティー開発者を見つけ出そうとしている。「数の上での競争をしたいのではない。ユーザーが使う(アプリケーション)は、多くても数十個だ。そのため、今あるアプリケーションを、本当に実用的なものにしたいと考えている」(Kerris氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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