HPとMS、DWHとBIのアプライアンス提供--「敷居を下げる最高のコンビ」

田中好伸 (編集部)2011年03月10日 21時26分
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)と日本マイクロソフト(日本MS)は3月10日、データウェアハウス(DWH)アプライアンス「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」とビジネスインテリジェンス(BI)アプライアンス「HP Business Decision Appliance」の提供を開始したと発表した。両社とそれぞれのパートナー企業を通じて販売する。

 Enterprise Data Warehouse Applianceは、日本MSのデータベース(DB)サーバ「SQL Server」の大規模DWH向けエディションである「SQL Server 2008 R2 Parallel Data Warehouse」と、日本HPのx86サーバ「HP ProLiant」とストレージ「HP StorageWorks P2000 G3 MSA ディスクアレイ」を組み合わせている。競合他社のDWHアプライアンスと比較して、約3分の1の低コストで数百テラバイトを超える大量データの高速処理が可能になるという。

 Parallel Data Warehouseは、超並列処理(Massively Parallel Processing:MPP)アーキテクチャであり、ノードをデータラック単位で追加することでスケールアウトでき、数テラバイトから数百テラバイトまで対応できる。MPPの場合、クラスタ化された複数のノードに分析処理を分散して、各ノードに搭載されたリソースを使って並列で実行することから、大きなデータの処理をより高速に実行できる。日本HPと日本MSは、MPPとは別のアーキテクチャである対称型マルチプロセッシング(Symmetric Multi Processing:SMP)がベースの「Microsoft SQL Server Fast Track Data Warehouse」を中心にしたソリューションを展開してきている(SMPはスケールアップで、MPPはスケールアウトで性能を拡張する)。

 またParallel Data Warehouseは、「シェアードナッシング(Shared Nothing)」というアーキテクチャを採用している。シェアードナッシングは、それぞれの検索プロセスに対してデータが論理的に分散されている構造を指している。各検索プロセスにデータが割り当てられていることから、並列度を増してもデータアクセスの競合が発生しないとされている(反対に「シェアードエブリシング(Shared Everythig)」というアーキテクチャも存在する)。

 Enterprise Data Warehouse Applianceの対応データサイズは最大500テラバイト。税別価格は1億8000万円から。4月上旬から出荷される。ソフトウェアかハードウェアかを問わずに、ワンストップで問い合わせ対応するとしている。

 一方のBusiness Decision Applianceは、ProLiantにSQL Server 2008 R2 Enterpriseと「Microsoft SharePoint 2010」がプリインストールされている。日本MSが提唱する“セルフサービスBI”を実現できるという「PowerPivot」機能で、企業内のすべてのエンドユーザーがデータを簡単に活用できるシステムを短期間で構築できるとしている。

 セルフサービスBIは、IT部門や専任担当者が協力しなくてもエンドユーザーが自由にさまざまにデータを加工、分析できる状態を指す概念。Excelのアドオン「PowerPivot for Excel 2010」を利用すれば、Excel上で多様なデータソースから直接データを取り込み、ピボットテーブルで自由に多次元分析や多次元集計ができるようになる。ExcelやSharePointといった使い慣れたツールでBIシステムを活用できるという、MSならではの強みがここで発揮されているといえよう。

 これまでBusiness Decision Applianceと同様のシステムを構築するには、ユーザー企業が自らサイジングの事前検証、SQL ServerとSharePoint、搭載するハードウェアを別々に調達して、最適な性能を引きだすためのチューニングに時間をかけざるを得なかった。

 だが今回のBusiness Decision Applianceの場合、ProLiant用にチューニングされているSQL ServerとSharePointがハードウェアにあらかじめインストールされた状態で出荷される。ユーザーは検証作業やシステム構築作業をしなくても、全エンドユーザーが利用しても最適な性能を提供できるBIシステムを導入できるとしている。

写真 (左から)日本HPで取締役専務執行役員を務める古森茂幹氏(エンタープライズビジネス営業統括)、日本MSの業務執行役員の梅田成二氏(サーバープラットフォームビジネス本部本部長)、日本HPの上原宏氏

 日本HPの上原宏氏(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバ統括本部 統括本部長)によると、Business Decision Applianceは最大150ユーザー、同時接続ユーザーアクセスは80までの性能があるという。Business Decision Applianceの税別価格は800万円。4月上旬から出荷される。Business Decision ApplianceもEnterprise Data Warehouse Applianceと同様に、ワンストップで問い合わせ対応する。

 上原氏は、今回の“MS+HP”という組み合わせについて「DWHの敷居を下げる最高のコンビ」と表現する。普段から使っているExcelやSharePointをベースにしたユーザーインターフェース(UI)があることで「誰でも使える、文系社員でも使えるGUI」と「レガシーDWHを凌駕するコストパフォーマンス」があるためだと説明している。

 その“レガシーDWHを凌駕するコストパフォーマンス”の実態について上原氏は、他社のDWHが「ハードウェア本体だけで1億6800万円、その上にソフトウェアと構築費で合計数億円が必要」と話す。今回の製品であれば、約2億円ですむと、そのコストメリットを強調している。

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