確かに、Amazonの潤沢な資金力をもってすれば、そのようなセットトップボックスを無料で配布することも可能かもしれない。同社はビデオストリーミング配信の権利を得るために映画制作スタジオやテレビネットワークに対価を支払っている。だが、それは大した問題ではない。Amazonは莫大な額の現金を保有している。同社は2010年通期決算(12月31日締め)で37億ドルの現金および現金相当物を報告した。
今やAmazonは、他社が太刀打ちできないサブスクリプション料金を容易に設定できる。
ほかにAmazonがNetflixよりも有利な点は、第三者に費用を支払うことなくPrimeメンバーにビデオをストリーミング配信する能力があることだ。Netflixではこうはいかない。それどころか、Netflixのストリーミング配信業務を担っているのはAmazonの「Amazon Web Services(AWS)」だ。つまり、Netflixは自社のバックエンド運用の一部をライバル企業に頼っているということだ。何やら陰謀が渦巻いていそうな話だが、AmazonがそのようにしてNetflixを陥れることでAWSの評判を損ねるようなことをするとは考えにくい。
米金融界はAmazonがNetflixにある程度打撃を与えるかもしれないと考えているようだ。 Netflixの株価は22日午後の取引で13ドル(5%)超下落した。この1年間のNetflixの株価は着実に上昇してきており、先週には過去最高の247ドルに達していた。
Netflixの関係者Steve Swasey氏は「成長市場には競合企業が集まってくる」と言う。
投資家たちは、Amazonが近い将来にNetflixを駆逐する可能性は高くないことを計算に入れるべきだろう。Netflixは2000万を超えるサブスクリプションユーザーを擁し、Amazonよりはるかに多くの映画やテレビ番組を取り揃えている。さらに、大企業よりもうまく立ち回る力があることをすでに示している。専門家たちはかつて実店舗を展開するレンタルビデオチェーンBlockbusterがNetflixを打ち負かすだろうと考えた。実際はそれと反対のことが起こった。Blockbusterが依然として延滞料金を課して消費者に苦い思いさせていたころ、Netflixはビデオを米国郵便で消費者の家まで届けるという全く新しいサービス提供モデルを生み出し、ユーザーに延滞料金なしで好きなだけDVDを手元に置き続けていいと告げた。
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