コンテンツ配信網(CDN)サービス最大手のAkamai TechnologiesとEricssonは2月14日、モバイル端末向けコンテンツ配信高速化ソリューションの開発を目指して、独占的な戦略提携を発表した。Ericssonが提供する、携帯電話通信事業者(モバイルキャリア)向け通信設備にAkamaiのソフトウェアを搭載して、携帯電話網内にCDNを構築する。
パケットアクセス制御ノード(SGSN)や無線網制御装置(RNC)、基地局といった、Ericssonがモバイルキャリア向けに提供する通信設備に、Akamaiのエッジサーバに搭載されているソフトウェアを搭載する。CDNは、オリジナルのサーバに蓄積されたコンテンツを多数のエッジサーバに配信してネットワーク化する仕組み。利用者はオリジナルのサーバにアクセスしなくても、地理的およびネットワーク的に近いサーバに接続して快適にコンテンツを楽しむことができる。EricssonとAkamaiの提携関係は、この仕組みを携帯電話網内に持ち込もうというものだ。イメージとして、Ericssonの通信設備にAkamaiのエッジサーバを搭載して、エンドユーザーはエッジサーバ上にあるコンテンツを楽しむ、といったところになる。
今回の提携関係について、日本法人のアカマイ・テクノロジーズ合同会社の小俣修一氏(職務執行者社長)は、「スマートフォンの急激な拡大が大きな背景にある」と説明している。iPhoneに加えて、2010年はAndroid搭載端末の登場によって、スマートフォンが急速に普及している。“爆発的”とも言えるスマートフォンの普及は、データトラフィックの急激な増加をもたらしている。小俣氏はCisco Systemsの調査結果をもとに「2010年のモバイル端末のデータトラフィックは世界全体で、2010年の1年間で大きく増加している」という。具体的には1カ月で237Pバイトに上るデータトラフィックだが、「これは2000年時点でのインターネットトラフィック全体の3倍にもなる」とも指摘している。
スマートフォンは、PCと同じような、画像や音声、動画といったデータを送受信できることから、このようにデータトラフィックが急激に増加している。つまり「スマートフォンでネットを使うのは重くなってきている」(小俣氏)という状況だ。携帯電話はインターネットとの接点にゲートウェイを置いて接続しているが、基本的に携帯電話網はクローズドなネットワークだ。そのため、スマートフォンのようなモバイル端末からネットを軽快に楽しむためには「クローズドのネットワークにもAkamaiのようなCDNを入れないといけないようになっている」(小俣氏)という。
小俣氏は「AkamaiのCDNを入れることで、携帯電話網の信頼性を高めることにもなる」と、そのメリットを強調。「スマートフォンからECサイトで買い物をする際に、パケットがロスするといった不安を解消することにもつながる」と説明する。Akamaiのソフトウェアを搭載したEricssonの通信設備をどのように導入するかは、モバイルキャリアの判断によるものだが、小俣氏は、今後日本国内のモバイルキャリアとの話し合いを始めることを明らかにしている。
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