コンテンツ配信網(CDN)サービス最大手のアカマイは10月9日、映像コンテンツ向け配信サービス「Akamai Media Delivery」がソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)が提供している「PLAYSTATION 3」(PS3)と「プレイステーション・ポータブル」(PSP)向けのアニメ作品の配信インフラとして採用されたことを発表した。
SCEJは、コンテンツのオンラインショップ「PLAYSTATION Store」でPS3/PSP向けにゲームとともに、アニメ作品などの映像コンテンツも配信。9月24日からは、PLAYSTATION Storeオリジナルのアニメ作品『亡念のザムド』を高精細画質(HD)で配信している。そのほか、約40タイトルのアニメ作品などのコンテンツをHDあるいは標準画質(SD)でダウンロードできるようになっている。SD品質の映像コンテンツであれば、PS3からPSPに転送して、場所を問わず楽しむことができる。
Akamai Media Deliveryは、映像や音楽、ゲームなどの大容量コンテンツのメディア配信に伴う課題を解決するためのもの。アカマイが世界70カ国750都市に設置する3万4000台以上のサーバ「Edge Platform」を基盤に、帯域幅の限界を回避する方法を提供できる。Akamai Media Deliveryでは、「大容量ファイルダウンロード最適化」(Large File Download Optimization)と呼ばれる技術によって、スケーラビリティを向上させることができるようになっている。
アカマイ代表取締役の小俣修一氏は、今回のPLAYSTATION StoreでのHD品質の映像コンテンツ配信を「HDウェブ」と言い表している。
HD品質で映像を記録再生できる新世代DVDのBlu-ray Disc(BD)が普及することによって、HD品質そのものは一般的になりつつあるが、アカマイではHDウェブへの準備を2007年から開始。PLAYSTATION Storeでのアカマイ採用も、そうした準備の結果と言うことができる。HDウェブの普及を促すことを目的に、HDウェブがどのような映像体験をもたらすのかを、同社ウェブサイト上で展開している。
アカマイの米国本社Akamai Technologiesでメディア製品担当ディレクターを務めるKris Alexander氏は、通常のIP網でHD品質の映像を配信することについて「HD品質の映像データは一つひとつの容量が大きいために、管理するのも大変」と説明。実際、HD品質の映像コンテンツは、必要となる帯域が6Mbps以上だ。それだけにAkamai Media Deliveryのような、HD品質を保証するCDNサービスを利用しないと、エンドユーザーのストレスは高まる一方で、HDウェブの普及は望めないだろう。
HD品質の映像コンテンツをネット上で流通させるうえでの問題となるのが、エンドユーザーがISPへアクセスするための“ラストマイル”ではなく、「“ミドルマイル”がボトルネックになる」(Alexander氏)という状況だ。
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