コンテンツ配信網(CDN)サービス最大手のアカマイは1月21日、マイクロソフトのウェブブラウザプラグイン「Silverlight」を活用した、世界規模での高精細画質(HD)動画ストリーミングサービス「AdaptiveEdge Streaming for Microsoft Silverlight」の日本での提供を発表した。これは米国法人同士での提携を受けたものになる。
AdaptiveEdge Streaming for Microsoft Silverlightは、アカマイが展開するHTTPをベースにする分散型ウェブサーバ網「Edge Network」経由でエンドユーザーにストレスを経験せずにHD動画ストリーミングを視聴できるというサービスだ。アカマイはまず、同日からメディア企業などHD動画ストリーミングを必要とする日本の特定企業向けにビデオオンデマンド(VOD)に限定して“技術検証用サービス(テックプレビュー版)”として提供する。
その後、3月18〜20日開催予定のウェブ開発カンファレンス「Microsoft MIX09」でベータ版として提供されるという。MIX09では、VOD以外にライブストリーミング機能やイベント関連機能などの詳細が発表される予定だ。そして、6月には商用のサービスとして提供が開始されることになっている。AdaptiveEdge Streaming for Microsoft Silverlightを活用したHD動画がどういったコンテンツを提供できるかは、ウェブサイト「SmoothHD」(現時点ではVODのみ)で視聴できるようになっている。
Silverlightに対応するAdaptiveEdge Streaming for Microsoft Silverlightでは、マイクロソフトのウェブサーバ技術である「Internet Information Service 7.0 Smooth Streaming」(IIS7 Smooth Streaming)を活用する。AdaptiveEdge Streaming for Microsoft Silverlightの仕組みは、アカマイが提供するプラットフォームにIIS7 Smooth Streamingを搭載するという形になっている。
現在技術検証中のIIS7 Smooth Streamingは、接続速度の変化に映像ストリームの質をリアルタイムで変化することで、バッファリングを必要とせずに、時間を待つことなく映像が起動されるといったこともできるようになる。アカマイ社長の小俣修一氏によれば、IIS7 Smooth Streamingを利用したCDN商用サービスは当面アカマイからの独占提供になるとしている。
これにあわせてアカマイは同日、Silverlightをベースにしたメディアプレーヤーの開発リソースキット「メディアプレーヤーフレームワーク」(Media Framework)の提供を開始したことも発表している。Media Frameworkは、アカマイが構築したきたワークフローと同様にYahoo!形式RSSなどの業界標準をサポートするコードライブラリも提供される。
このMedia Frameworkを活用すると、コンテンツ開発者はSilverlightによる映像プレーヤーを開発するための時間やコストを削減できるという。同時に、創造性が求められるというアプリケーション関連作業に注力することができるようになるとしている。Media Frameworkは、Windows Mediaでストリーミングサービスを展開しようとするアカマイのユーザー企業に向けて提供される予定だ。
これまでの動画サービスではFlashをベースにしたものが一般的となっているが、ここ最近では、HD動画を流通させる動きが高まりつつある。たとえば、2008年夏に開催された北京五輪の映像はSilverlightを活用して米NBCによってネット上で流された。直近でも、Barack Obama大統領の就任式の動画はSilverlightをベースにしている。こうした事態を受けて「2009年はHD動画が普及する」(小俣氏)と見込まれている。
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