具体的に何が停滞の原因となっているのかははっきりしない。調査会社NPD Groupなどは、YouTubeの音楽動画をはじめ、コンシューマーに無料で音楽を提供する広告ベースのサービスが、楽曲を販売しようとするiTunesやAmazonといったサービスと競合しているのではないかと考えた。しかしこれらのサービスは、利益を生み出した実績がない。レコード会社は長年にわたって広告ベースのサービスと付き合っており、それが業界にとって大きな不幸となっている。
SpiralFrog、Imeem、Ruckus、YouTubeはいずれもこのビジネスモデルを試みたが、見るべき成果を上げたのはYouTubeだけだ。YouTubeとImeemは多くの視聴者を惹き付けることができたが、Imeemはあまり利益を生み出すことができず、SpiralFrogやRuckusと同様に廃業した。
欧州の音楽ストリーミングサービスSpotifyに大きな障害をもたらしたのは、この悲惨な歴史だったと音楽業界の情報筋は言う。Spotifyは、欧州で1000万のユーザーを獲得しているが、大手レコード会社から米国のライセンスを取得できずにいる状況が1年以上続いていた。Spotifyが成功している企業であることをレコード会社に納得させる上で最大の障害の1つは、Spotifyの広告ベースサービスのユーザーを、サブスクリプションサービスにお金を出そうという気にさせるのに苦慮していることだ。
それでも、Spotifyはようやく最初のライセンス契約を締結することに成功し、もうすぐ2件目を締結しようとしている。The New York Postの報道によると、Spotifyは4大レコード会社の中で第2位のSony Music Entertainmentとの間で合意に達したという。また、スウェーデン人起業家Daniel Ek氏が創業したSpotifyは、4大レコード会社の中では第4位にあたるEMIとの間でも話し合いが進んでいると、The New York Timesの米国時間1月28日の記事で報じられている。
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