Intelの最高経営責任者(CEO)であるPaul Otellini氏は米国時間1月13日、第4四半期決算発表の電話会議の中で、急速に成長しているARMチップエコシステムにどのように対抗していくかを詳細に説明した。ARMチップはタブレット分野で最大のシェアを誇っている。
Otellini氏は電話会議の中ですぐにタブレットに言及した。タブレット市場は現在、Appleの「iPad」を中心に回っており、そのiPadに搭載されているのはApple向けにカスタマイズされたARMプロセッサだ。また、MotorolaやResearch In Motion(RIM)、サムスンのタブレット製品も電力効率に優れたARMプロセッサを基盤としている。Otellini氏は、Intelがタブレット市場やスマートフォン市場で最終的に勝利を収めるための方法をいくつか論じた。
Otellini氏は「2011年には、『Atom』は、『Windows』『Android』『MeeGo』という3種類のOSが稼働するさまざまなタブレットにも搭載される」と述べた。アナリストから、Android開発パートナーにとってAtom搭載タブレットとARMベースのタブレットにはどのような違いがあるかという質問を受けて、Otellini氏は「Atomベースのタブレットを設計することで、複数のOSを動作させる機会を得られる。それはIntelのユニークな価値提案だと思う」と答えている。
Otellini氏によると、タブレット戦略を進めていく上でのIntelの最大の強みは、強大な製造能力だという。「従来のコンピューティング市場で何十年も行ってきたように、世界最先端のシリコントランジスタテクノロジをこれらの新しいセグメントに応用し、省電力性、パフォーマンス、コスト効率に地球上で最も優れた製品を提供するつもりだ」(Otellini氏)
組み込み機器(医療機器や車載機器など)におけるAtomの成功は、タブレットやスマートフォンにも波及するだろう。Otellini氏は次のように述べている。「AtomはノートPCに限定されたものではない。われわれは組み込みビジネスが大きな勢いを得た状態で2010年を終えた。設計契約数は合計で4900件以上になり、Atom組み込み機器のデザインウィンも1700件を超えた。この勢いについて話したのは、組み込みビジネスにおけるAtomの主な成功要因を、スマートフォンやタブレット、消費者向け電子製品の分野にも応用できることを強調するためだ。ソフトウェアの互換性やパフォーマンス、消費電力、アーキテクチャの一貫性は、弊社の顧客にとって非常に重要なものだ。この分野における勝利の多くは、ARM(プロセッサ)とMIPS(プロセッサ)からのアーキテクチャの変換だ」
Otellini氏は、Intelはタブレットやスマートフォンといったデバイスの台頭から間接的な利益も得ることになると述べた。同氏はその理由を、Intelのプロセッサは世界の大半のサーバに搭載されており、そのサーバがクラウドコンピューティングのエンジン部分だからだとしている。
「2010年にインターネットを流れるトラフィックの総量は245エクサバイトだった。これは2009年以前のすべての年のトラフィックを合計したものよりも多い。今後5年間で10億人以上の人々が、PCやスマートフォン、タブレット、組み込み機器、スマートテレビなど150億台の新しい接続デバイスを使って、新たにグローバルオンラインコミュニティーに加わるだろう。われわれは、これによってインターネット上のデータフットプリントが1000エクサバイト以上に増加すると推計している」(Otellini氏)
Otellini氏は次のように続けた。「この大きな動きの中で、今後何年にもわたってIntelの高性能サーバが必要になるだろう。そして、それはサーバだけではない。Intelはストレージシステムやネットワーキングインフラストラクチャ向けプロセッサによって、データセンターでも存在感を増し続けている。Intelは2011年前半に『Xeon』サーバ製品ライン全体の刷新を計画しており、データセンターの拡張とクラウドコンピューティングの拡大から利益を得る上で極めて有利な立場にいる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」