Appleの「iPad」や「iPhone」など飛ぶように売れる製品の裏には膨大な数の製造職があるが、その大半は米国外だ。そうした製造業の雇用を米国内でもっと創出し、慢性的に高い失業率に対処することは可能なのだろうか。
パーソナルコンピューティングは急速にノートPCを越えて拡大しようとしている。その恰好の例がAppleだ。同社の製品で現在最も人気があるのは、ほぼ間違いなくiPhoneとiPadだろう。Appleが作るあらゆるものに対する需要が高まっていることで、チップ製造は新しいシリコンエコシステムが生まれているアジアへ急激にシフトしている。Hewlett-Packard(HP)やDellといった企業もこの移行に一役買っているが、これらの企業は主にIntel中心のPCメーカーであるのに対し、Appleはスマートフォンやタブレットのメーカーに姿を変えようとしている。それによって、代替的な非Intelのシリコン製造エコシステムが米国外に生まれつつある。
では、Appleのような米国のガジェットサプライヤーが、米国内のチップ製造拠点を維持するためにできること(あるいはすべきこと)はあるのだろうか。この質問に対する答えを求めて、筆者は先日、Intelの元最高経営責任者(CEO)のAndy Grove氏が教えるスタンフォード大学の講義に参加し、デューク大学プラット工学院の起業および研究商業化センターの研究ディレクターであるVivek Wadhwa氏に話を聞いた。
筆者の前提は非常にシンプルなものだった。チップ製造は、タブレットとハイエンドスマートフォンによって米国外に追いやられ、PCチップ大手Intelから遠ざかっている。Intelは昔から米国内に大規模な製造拠点を維持してきた。筆者が疑問に思っているのは次のことだ。テクノロジの観点から見てすべての条件がほぼ同じなら、可能な場合は米国内に製造拠点を持つ企業からシリコンを調達するようにして、米国内に雇用を創出することは、ビジネス的に実現可能な選択肢なのだろうか。
その最も顕著な例の1つはMicron Technologyと、同社がIntelと共同で設立したフラッシュメモリチップのジョイントベンチャーIM Flash Technologiesである。Micronはアイダホ州ボイシに拠点を置く闘志に満ちたチップメーカーで、1980年代に日本のチップメーカーがDRAMのシェアを大量に奪取したときも切り抜けており、アジア(主に韓国と日本)が優勢な現在のメモリチップ業界でも健在だ。
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