では、どういう過程を経て今のような状況になったのだろうか。1985年11月20日、MicrosoftはDOSプロンプトコンピューティング体験に代わるものとして「Windows 1.0」を出荷した。ユーザーはコマンドを覚えなくても、ファイルディレクトリの閲覧やプログラムのインストールが可能になり、プログラムを簡単に起動できるようになることなどが売りだった。コマンドを使わなくても、キーボードとマウスで操作することができた。さらに重要なことは、マルチタスキングを採用し、同時に複数のアプリケーションを実行できるようになったことだ。
マルチタスキングは、今では当たり前のものと考えられているが、当時はコンピューティングの生産性を高める魅力的な機能だった。とはいえ、Windowsはバージョン1.0の発売から約5年後に「Windows 3」が登場するまで、大きな人気を得ることはなかった。2年間で1000万本を売り上げたことから測れるWindows 3の成功は、OSのルックアンドフィールとレガシーソフトウェアに対する下位互換性に依るところが大きかった。
Windows 3時代に続いて、Microsoftは「Windows 95」を発表した。同OSはスタートボタンやタスクバーを採用しており、The Rolling Stonesを起用した大規模な広告キャンペーンが展開された。その後の6年間で、「Windows 98」「Windows 2000」「Windows Millennium Edition」「Windows XP」が発表された。XPはその後、非常に大きな成功を収めたが、予想よりも長い期間にわたって現役を務めることになった。その大きな要因は、5年後にリリースされたXPの後継Windows Vistaだ。
Vistaは堅調な売り上げを記録したものの、消費者と企業の両方が冷めた反応を示した。この問題は、Microsoftがデバイスメーカーに対して事実上譲歩したことで、さらに複雑になった。デバイスメーカーはVistaが発売されてから1年以上が経過していたにもかかわらず、Microsoftの旧OSであるWindows XPを搭載した新品コンピュータを売り続けることができた。
Vistaの後、現行のOSである「Windows 7」が登場した。Windows 7はMicrosoftにとって大成功となった。同社は2009年10月の発売以来、Windows 7を2億4000万本以上販売している。販売のペースもVistaより速く、パッケージ版の販売は発売直後の同期間中にVistaよりも234%多かった。
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