「Windows」25周年--PC業界での成功と新たな課題 - (page 2)

文:Josh Lowensohn(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年11月25日 07時30分

 Windowsの市場シェアが今後数年で危うくなる理由を理解するためには、プラットフォームとしてのWindowsが直面しているほかの課題に注目しなければならない。もちろん、25年間にわたって獲得してきた顧客を新しい製品に移行させるのは容易なことでない。何世代もの旧ソフトウェアに何らかのアップグレードパスを提供する必要がある。基本的に、企業が大きくなればなるほど、背負い込む負担も大きくなるものだ。そして期待はずれに終わった「Windows Vista」も事態を悪化させた。

 しかし、最も差し迫った脅威の1つは存在に関するものだ。つまり、PCとは正確には何なのかという概念のことである。PCとは、広く使われているIntelのx86半導体アーキテクチャを採用し、Windowsソフトウェアを実行するデスクトップ型デバイスやノートブック型デバイスのことなのか。それとも何か別のものなのか。スマートフォンのような小型のデバイスのことなのか。もっとiPadに近いものなのか。あるいは、それらすべてを含むものなのか。PCはx86で動作するのか、それとも人気が高まっているARMアーキテクチャで動作するのか。そしてMicrosoftは、このようにさまざまなデバイスが存在する世界を、どのように管理していくのだろうか。

 変化の兆しが見られる分野の1つは、Microsoftが「Windows Mobile」プラットフォームの後継として開発した「Windows Phone 7」だ。ユーザーが何か違うものを求めていることを把握し、結果を出すために既存のプラットフォームを捨てるのは、容易なことではなかった。しかし、Microsoftがそれを断行する大きなきっかけになったのは、AppleやGoogleのような競合企業に敗れたことだ。MicrosoftはWindowsのように大規模で定着したものについても、必要に迫られる前に同じことをできるだろうか。

 Windowsの場合、大規模な変更を加えたいと思うこと自体が難しいかもしれない。Windowsは、フォームファクタによって定義される使用モデルのために開発された製品であり、そのモデルにどっぷりと浸かり続けているものだ。しかしそうした考えが変わるにつれて、Windowsも変わる必要がある。MicrosoftがWindows Phone 7でモバイルプラットフォームを完全に作り直したことは、明らかに同社が大きな変更を加えるのを恐れていないことを示している。本当に重要な問題は、Windowsのような製品にどのようにして大きな変更を施すのかということだ。今でもWindowsの大きな魅力の1つはアプリケーションが豊富にあることで、それは簡単に捨てられるものではない。

 そこには別の問題もある。開発者がアプリケーションをクラウドへ移す中で、ユーザーが使うOSへの依存はあまり重要でなくなっている。Microsoftはこのもう1つの事業分野でも、サーバソフトウェアやそれらのアプリケーションを動作させる「Windows Azure」プラットフォームのライセンス提供で利益を上げている。とはいえ、それは解決策の半分にすぎない。開発者は、Windowsのようなプラットフォームに投資し続けるだろうか。それとも、あらゆるプラットフォームから自社の製品やサービスを利用してもらえるウェブに注力するだろうか。

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