PCの起動は将来どれだけ速くなるだろうか。数秒で起動するPCには何が関わっているのか、何によって実現する可能性があるか、業界の専門家に尋ねた。
PCをすばやく起動させるための鍵となるコンポーネントの1つがBasic Input/Output System(BIOS)だ。BIOSはすべての「Windows」PCにあり、コンピュータが起動するときに最初に動作するコードだ。ファームウェアとも呼ばれる。BIOSは、ハードディスクドライブやDVD/CDドライブ、ネットワークコンポーネント、USBポート、ビデオカード、キーボード、マウスといったシステムデバイスの初期化と識別を担っている。
筆者は、BIOSのサプライヤーであるPhoenix Technologiesのビジネス開発担当バイスプレジデントSurendra Arora氏、同社の最高技術責任者(CTO)Stephen Jones氏、IntelのSoftware and Services GroupシニアプリンシパルエンジニアMark Doran氏に話を聞いた。
また、Intel Software and Services GroupシニアマネージャーのFadi Zuhayri氏とも電子メールをやり取りした。Zuhayri氏によれば、いつの日かインスタントオンに到達するための基盤をもたらすのは、Unified Extensible Firmware Interface(UEFI)だという。しかし、10秒以下という高速起動を実現するには、OSを含む数多くの要素を連携させる必要がある。「そのため、もう少しでインスタントオンと言えるところに近づいている。実現のための技術的基盤はそこにある」とZuhayri氏は述べる(なお、UEFIはすでに多くのPCメーカーのWindows PCで使用されている)。
Arora氏:実際のところ、UEFIはさまざまな理由から始まりました。UEFIが始まった理由の1つが起動速度であったかどうかは、よく分かりません。本当の理由は、アセンブリコードから離れることでした。起動プロセスは、かつてはアセンブリコードでした。ハードコードされたものか、マシンレベルのコーディングです。現在ではC(言語)が使われています。API上に構築された抽象化レイヤによって可能になっています。これ(UEFI)によって、さまざまなものを標準化し、マルチスレッディングを利用できます。初期化を並列にしたので、非常に速く起動できるようになりました。
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