「Appleがそのことから得ているメリットを、ほかのメーカーが理解するまでには長い時間がかかった。Palmを買収して、モバイルデバイス事業へ進出し、自社システム内での統合(『webOS』)に取り組んでいるHPは、少しこれと似たことをするかもしれない」(VanAmburg氏)
またVanAmburg氏は、「現在の業界では、PCそのものという過去の考えを超える動きが、Apple以外にも多少はあるが、業界の動きは遅かったと思う。その方向に進むことに消極的なムードもある」と付け加えている。
Apple Storeは、Appleと競合他社の違いが分かる格好の例であり、同社のアプローチを示すものでもある。
同ストアは人々がAppleと接する最も重要な手段の1つだ。それは既存の顧客だけでなく、潜在的な顧客にも当てはまる。Appleによると、3カ月で5000万人以上の顧客がApple Storeを訪れることもあり、商品を購入する人の半分が初めての顧客だという。
現在Apple Storeは世界に300店舗ある。その大半は米国内にあるが、ロンドンやパリ、上海といった世界の主要都市でも店舗数を増やしている。同ストアの目的は、Apple製品を所有し、使用するのがどういうことかを伝えることに尽きる。Appleは体験の全体を管理しており、それは棚に陳列する製品の選択から、意図的にオタクっぽくした(あるいは格好の良い)若い従業員の教育、博物館で見られるような派手な建築物を用いた一部店舗の設計手法、Genius Barで利用できる技術サポート、さらにはApple製品の使用方法に関して店舗内で開かれる教育クラスにまでわたっている。
これまで複数のPC企業が小売分野に手を出してきたが、その結果はさまざまだった。Microsoftが現在行っている小売分野での実験(Appleの小売店舗の雰囲気を模倣している)は、未だに小規模なものだ。現在は4店舗で、いくつかの新店舗が計画中である。Dellの小売分野への進出は短命に終わった。Gatewayは数年間にわたってかなりの成果を上げたが、その後、小売分野から撤退し、最終的にAcerに身売りした。
小売店の維持にはコストがかかるが、小売店は企業のブランドを定義し、顧客が企業と接する方法に影響を及ぼすことができる。Appleはその作業を自ら引き受け、さらに製品をオンラインで販売したり、複数のサードパーティー小売業者を通して販売したりしている。PCメーカーはウェブ上での直接的なアプローチに依存するか、Best BuyやFry's、MicroCenterで販売担当者が製品を適切に説明してくれると信じるか、あるいはWal-MartやCostcoの店内をぶらつく消費者にすべてを任せるかのいずれかである。
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