iPodは、1000曲が収録可能で白黒のスクリーンとクリックホイールを備えた初代モデルから、大きな進化を遂げてきた。しかし、その進歩と成功によって、Appleは奇妙な立場に置かれることにもなった。Appleの歴史において、同社がライバル企業を支配してきた事例はそれほど多くない。その意味でiPodは異なっている。Appleは何年も前にこの分野を制覇した。ライバルを完膚なきまでに痛めつけ、この分野でAppleと勝負しようと考える企業さえほとんどいなくなったほどだ。
Appleは今でも年間数百万台のiPodを販売しているが、その売り上げは減少し始めている。このところAppleの売り上げを牽引しているのはiPhoneとiPadだ。したがって、Steve Jobs氏とAppleが両製品に力を入れるのも当然と言える。
しかしAppleは現実にデジタル音楽プレーヤー部門を有しているため、実際にはそれほど興味深くない分野において人々の関心を維持することを余儀なくされている。
その関心を維持するためにAppleが過去数年間に行ってきたことには、少し分かりにくい部分もあった。2008年以降毎年、iPhoneの機能が「iPod touch」に追加されており、2010年は「Retinaディスプレイ」と2台のカメラ、「FaceTime」機能などが追加された。
このことは理にかなっている。なぜなら、iPhoneやiPadを購入したくないユーザーにも「App Store」のアプリケーションを販売できるようになるからだ。さらに「iPhone 4」ユーザー同士以外にも、FaceTimeを使って話をできる相手が増えることになる。
「iPod shuffle」の再設計にはいくらかの迷いが見て取れる。Appleは2009年、iPod shuffleの本体のボタンをすべて排除した。この変更はあらゆる方面から批判され、Jobs氏も2010年のイベントでそのことを認めた。Appleはその設計を廃し、2年前の設計を復活させた。
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