ただし今のところ、AdobeとGoogleが結んでいるのは便宜的な提携関係だ。その関係は、両社が互いを必要としており、双方がAppleのモバイルコンピューティング市場に関する意図に不信感を抱いているということに基づいている。Adobeがモバイルコンピューティング市場のほかの部分を見て見ぬふりをしているわけではない。Adobe関係者は米国時間8月16日、同社がFlashを、Research In Motionの「BlackBerry」ソフトウェア、さらにはHewlett-Packard(HP)の「webOS」、間もなく登場するMicrosoftの「Windows Phone 7」向けにリリースする計画であることを明らかにした。Appleはどうかというと、Adobeとの緊張関係が緩和する可能性は低そうだ。
しかし、Flashが最も直接的な影響を及ぼすことができるのはAndroidだろう。AndroidはiPhoneとBlackBerryを抜いて、米国で最大のシェアを誇るスマートフォン向けOSになった。「Droid 2」(「Android 2.2」と「Flash Player 10.1」がプレインストールされた初めてのスマートフォン)が先週リリースされたことで、ほぼ一晩にして、Androidユーザーは豊富なFlashゲーム群を選択できるようになった。これは、Appleの「App Store」で公開されている膨大な数のゲームに対抗する重要なセールスポイントだ。Android 2.2へアップグレードするユーザーが増えれば増えるほど強力なものになるだろう。
App Storeの熱狂が何年も続いた後で、AndroidをiPhoneの有力な代替プラットフォームと考えるようになった真剣なアプリケーション開発者が増えている。そして、Flashベースのアプリケーションを作成する機会を得たことで、Android搭載携帯電話向けにアプリケーションを作成する開発者は全面的に拡大していくだろう(「iOS」の世界でFlashを使えるようにする回避策は、信頼性に欠ける)。GoogleとAdobeにとって重要な問題は、今日までモバイル版のFlashを苦しめてきたパフォーマンスの問題と奇妙なユーザーインターフェースを改善できるのか、そして、開発者はiPhoneの場合と同じくらい多くの機会をAndroidでも目にするようになるのかということだ。
Adobeは今でも「Photoshop」や「Photoshop Lightroom」のような「パッケージ」ソフトウェア、「Dreamweaver」のようなソフトウェア開発環境の販売から多額の利益を上げている。しかし、いかなる現代的なテクノロジ企業も、モバイルコンピューティングへの移行を無視することはできない。そして、Adobeから見ると、その道は今、Googleによって舗装されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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