アドビとグーグルの接近--モバイル分野における対アップル戦略 - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年08月20日 07時30分

 実際に両社は互いを必要としている。GoogleはHTML5テクノロジを積極的に支持しており、HTML5はいつの日かAdobeのFlashを過去の遺物にしてしまう可能性があるが、その日が来るのはまだまだ先のことだ。Adobeのサポートがあるために、GoogleはキャリアのストアにおいてAppleおよびiPhoneとの違いを分かりやすく打ち出すことができ、Android搭載携帯電話のメーカーは顧客に対し、iPhoneや「iPad」には非対応のさまざまなインターネット動画やゲームを楽しめることを約束できる。

 その上、ほかの企業が自社のテクノロジを自社のプラットフォームで実行する自由を支持することで、Googleが倫理面での優位性を主張し続けることも可能になる。対照的に、AppleのCEOであるSteve Jobs氏は「自分のやり方に従えないのなら、ほかのところへ行ってくれ」というアプローチだ。Jobs氏の戦略には良い点もあるのかもしれない(断片化やデバイス間でユーザー体験が異なるといったAndroidへの批判で示されている)が、それは多くのソフトウェア開発者にとって、簡単に受け入れられるものではない。GoogleとAdobeはそういった開発者らのアプリケーションが魅力的なものになることを期待して、開発者を自分たちの側に引き入れたいと考えている。

 一般の消費者は、「オープン」という言葉の意味についての激しくマニアックな議論になど、興味がないかもしれない。AdobeのチーフオープンソースエバンジェリストであるDave McAllister氏の見解によると、その理由の1つは、「現在、英語の中で誤用されることが圧倒的に一番多いのは、openという単語である」からだという。

 しかし、開発者たちは自らが適切だと思う方法でアプリケーションを開発する自由と、それらのアプリケーションを複数の種類のハードウェアで実行できることについて、実際に気にかけている。iPhoneが多くの機会を提供してきたにもかかわらず、AdobeとGoogleはそうした開発者たちを自分たちの側に引き入れようと懸命に戦っている。

 問題になる可能性があるのは、テクノロジ業界とメディア業界の多くの人がFlashを当座しのぎのテクノロジと見なしていることだ。つまり、今のところは良好なソリューションということで、インターネットで提供されるアプリケーションを支える将来のバックボーンとは考えられていない。AppleがiPadで初期の成功を収めたことで、メディア企業は自社サイトのHTML5版の開発に取り組み始めた(ただし、Huluなど目立った例外もいくつかあった)。そしてGoogleまでもが、HTML5はインターネット経由で提供されるアプリケーションの未来だと考えている。

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