Sydnor氏は、個人がiPhoneをジェイルブレイクすることがDMCAによって認められているからといって、「Appleやキャリアが、ジェイルブレイクに対処するための契約上の制約を保護できないわけではない」と述べている。「本質的に、今回の決定で言われているのは、ジェイルブレイクは契約に盛り込まれるべき性質のものだということだ」(Sydnor氏)
誰かがiPhoneをジェイルブレイクした場合、Appleは契約違反を主張することができる。あるいは、ユーザーにAppleとの契約を破るよう誘導したという理由で、ジェイルブレイク用ソフトウェアを作成する個人や企業を訴えることもできるだろう。Sydnor氏はこれを別の言葉で言い表している。「たとえDMCAが存在しなくても、ユーザーはテクノロジによる保護メカニズムを回避しないよう法的に束縛される可能性がある」
1998年に成立したこの法律のセクション1201を読んでみてほしい。パート1には、一般的に、「いかなる個人も、(コンピュータプログラムを含む著作権物への)アクセスを効果的に制御するテクノロジ対策を回避してはならない」と書かれている。
パート2には、「いかなる個人も、(そうした回避を可能にするあらゆるソフトウェアの)製造、輸入、一般への提供、提供、それ以外の売買を行ってはならない」とある(この制限は米国外のソフトウェア開発者にはほとんど影響しないことに注意)。
しかし、パート1には重要な注意事項がある。米国議会図書館の米著作権局には、3年ごとにDMCAの影響を評価し、「法律に違反しない範囲内で」著作権物を利用したい米国人に代わって著作権法の適用外とする項目を追加する役割がある。
例えば、最後に著作権法の適用外とされた項目群には、キャリアを変更しても同じ携帯電話を使い続けたいユーザーがそのファームウェアの「ロックを解除」することが正式に合法となった、という文言が含まれている。
カリフォルニア大学バークレー校ロースクールのSamuelson Law, Technology & Public Policy Clinicの共同ディレクターであるJason Schultz氏によると、今回の発表によって、自分の携帯電話をジェイルブレイクしたいユーザーからすべての法的な懸念が完全に排除されるわけではないが、DMCAの保護を失うことはプロプライエタリなソフトウェアを採用しているAppleなどの携帯電話メーカーにとって大きな打撃だったという。
「Appleにとって厳しい状況になった。今回の決定は、ユーザーに有利な方向に状況を変えるものだ。Appleが訴訟を起こした場合、同社は(このケースで)米著作権局が間違っている理由や、ほかの法律が著作権法よりも優先されなければならない理由を判事に説明する必要がある」(Schultz氏)
Schultz氏は「言い換えると、iPhoneプラットフォームを管理する上で、DMCAはAppleの最強の武器だった。(DMCAを適用できなくなることは)チームで最も優秀な選手を失うようなものだ」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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