N・カー氏の新著書に見る「人間の脳とウェブ」--「知性の浅瀬」と向き合うには - (page 3)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年07月09日 07時30分

 しかし、Carr氏の研究と分析を読むと、はっきりとしていることが1つあるようだ。それは、われわれが情報配信と情報消費の時代に突入しようとしており、質の高い思考や議論に本当に興味のある個人は、それを実現するためにさらなる努力を強いられるようになるが、誰かがその穴を埋めるということだ。

 米連邦通信委員会(FCC)の元委員長Newton Minow氏は、自身のキャリアで最も有名なスピーチの中で、テレビのチャネル数がわずか数局しかなかった時代に、テレビを「広大な荒野」に喩えた。Minow氏は1961年に、「テレビの質が高いとき、劇場や雑誌、新聞も含めて、テレビにかなうものは何もない。しかし、テレビの質が低いとき、これほど悪いものはない」と述べている。

 Minow氏がインターネットの登場を受けて、その主張を改めたのかどうかは分からない。しかし、半世紀前の同氏の発言は、当時よりも今日のメディア時代によく当てはまるように思える。インターネットは人間の創造性に関する長所と短所の限界を押し上げ、そのコンテンツに誰もがどこからでも、好きなときにアクセスできるようにした。1961年から変わっていないのは、一般の人々の好みだ。

 どんなウェブパブリッシャーに尋ねても、インターネット上で売れるのは(良く言っても)平凡なコンテンツだと答えるだろう。米YahooやAOLといった企業は、自社が抱えるプロのジャーナリストやエンターテイナーを宣伝することで、高品質なコンテンツに対する自社の取り組みを誇示することを好むが、同時にAssociated ContentやSeedのようなコンテンツファームにも何億ドルという金額を投じて、安いジャンクフードのスライドショーやlisticle(リスト形式の記事)、有名人のゴシップなどを大量に提供している。もちろん、書籍もこれと同じようにどん底の水準まで落ちてきたが、ゴミのような書籍を作るのは、ゴミのようなウェブサイトを作るのよりもはるかに困難で、はるかに多くのコストがかかる。

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