米国の多くの成人は、携帯電話、コンピュータ、インターネットアクセス環境を持っているが、Web 2.0の活動に参加しているのはごくわずかであることが、ある調査で明らかになった。
米国の非営利団体Pew Internet & American Life Projectは米国時間5月6日、「Typology of Information and Communication Technology Users」(情報通信技術ユーザーの類型)と題した、人々の「発展的なサイバースペースとの関係」に関する調査結果を発表した。
Pewの調査結果によると、米国成人の73%が携帯電話を所有し、68%がデスクトップPCを所有しているという。またノートPC所有者の割合は30%で、インターネット利用者の割合は73%だった。しかし、その中で、Web 2.0アプリケーションを使って自分の意見や考えを表現している人はほとんどいなかった。
同調査におけるWeb 2.0ユーザーの定義は、ハイテクを利用して「オンラインで自己表現したり、サイバースペースの共有領域に参加する人」となっている。例えば、個人ウェブサイト、ブログ、ビデオブログの管理者や、メディアをリミックスしている人、ニューメディアの創作物を他人と共有している人などがこれに該当する。
また同調査の結果、米国成人全体に占めるWeb 2.0機能の「熱心なユーザー」の割合はわずか8%だった。ただ、米国の成人の多くがWeb 2.0機能が利用可能な機器を所有し、個人的な自己表現の手段として利用している。
例えば、米国成人の37%が日常的にインスタントメッセージング(IM)を利用し、41%が携帯電話からテキストメッセージを送信した経験があった。また全体の4分の1以上が音楽ファイルをダウンロードした経験があり、写真、話題、アートワーク、映像のいずれかを共有した経験のある人は19%だった。
Pewによると、現在存在する主な接続ポイントは、デスクトップPC、ノートPC、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ウェブカメラ、メディアプレーヤー、携帯電話、スマートフォンの8つだという。
Pewの調査では、人々をハイテクに関する10種類の人格に分類し、それらをさらに、上記の主要な8種類の機器の中で実際に使用している機器とその使い方に基づいて3つの大きなカテゴリに分類している。
米国成人のおよそ55%がデジタルカメラを所有し、全体の5分の1がiPodなどのデジタルメディアプレーヤーを所有している。また、米国成人の11%がPDAやBlackBerryなどの同様の機器を所有している。
一般にハイテクのヘビーユーザーと考えられている10代の若者は調査の対象外となっている。今回の調査では、Princeton Survey Research Associates Internationalが2006年2月から4月にかけて4001人の米国成人を対象に電話アンケートを実施してデータを集めた。
Pewは、米国成人のハイテクユーザーを「High(高)」「Moderate(中程度)」「Below Average(平均以下)」の3つのカテゴリに分類した上で、さらに10種類のタイプに明確に分類できることを発見した。
複数のタイプが一般にハイテク機器を同じ要領で利用している場合はあるが、これらの10種類のタイプは、彼らの生活における通信技術の位置付けに関して、考え方や優先事項が大いに異なっている。
雑食動物タイプ(8%):このタイプは、性別を問わず、熱心なWeb 2.0ユーザーで、年齢は30歳以下が多い。彼らは、世間に向かって自己表現するために個人のウェブページ、ブログ、マッシュアップを頻繁に更新する。また、iPodで動画を視聴したり、仮想世界に参加することが多い。彼らの社会交流の大半は、家庭や職場の高速インターネット接続を介したインスタントメッセージング、テキストメッセージの送受信、ブログを通じて行われる。
接続者タイプ(7%):このタイプは、1990年代はじめからインターネットを利用している30代女性が大半を占め、フル装備の携帯電話かスマートフォンを所有している。彼女らは、コンテンツ管理や、職場、コミュニティー、家族への連絡、さらに趣味やエンターテインメントに関する交流のための場所としてインターネットを好んで利用する。その際は、携帯電話かスマートフォンのどちらかを使用し、Wi-Fi経由でインターネットに接続する。彼らは、平均的な米国民の2倍の確率で、ブログを作成したり、ウェブページを所有している。
精細を欠くベテランタイプ(8%):このタイプは、90年代半ばからインターネット上でさまざまな経験をしてきたが、Web 2.0やモバイルメディアにはほとんど関心がない。ノートPCを所有し、ブロードバンド接続が可能な40代男性にこのタイプが多い。彼らは、電子メールと携帯電話は仕事に必要不可欠だと考えている。また、インターネットで情報検索したり、電子メールで家族や友人と連絡を取り合ったりもするが、関心はそこで途絶えている。
生産性増進目的タイプ(8%):ハイテクを適度に利用するタイプで、性別を問わず、子持ちの40代に多い。こうした人々はインターネットの機能や効用を肯定的にとらえているが、あくまで仕事や習い事の手段と考えている。また、家族や友人への連絡手段としてインターネットを好んで利用するが、彼らが携帯電話やノートPCで人気テレビ番組「Lost」の動画クリップを視聴している姿を見るのは至難の業だろう。
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