IDC Japanは6月17日、2009年の国内セキュリティ市場規模実績と2014年までの予測を発表した。これによると、2009年の国内情報セキュリティ市場において、ソフトウェア製品の市場規模は、前年比0.9%増の1928億円とほぼ前年並みとなった。一方、セキュリティアプライアンス製品市場は、前年比マイナス12.3%の333億円。また、セキュリティサービス市場は、データセンター事業者では好調、システムインテグレーターでは不調と明暗が分かれ、全体では前年比7.5%増の6177億円となった。
セキュリティソフトウェア市場は、アンチウイルス、メールセキュリティ製品で年間ライセンスビジネスが確立しており、安定的な収益構造を持つため、停滞した経済環境でIT投資が抑えられた状況の中でも堅調に推移した。IDCでは、2009〜2014年の年間平均成長率は3.2%、2014年の市場規模を2252億円と予測している。
セキュリティアプライアンス市場は、新規出荷では投資意欲の低下の影響が大きく、特に中小企業向けの製品出荷が多い統合型脅威管理製品(UTM:Unified Threat Management)で、この傾向が強く出た。IDCは、景気動向に大きく依存するとしながら、2009〜2014年の年間平均成長率は4.8%、2014年の市場規模を421億円と予測している。
セキュリティサービス市場は、定期契約がベースのため、安定的な売上があり、さらに今後は大企業に加えて中堅中小企業向けのメニューなどが充実されている。このため、人員不足を補うサービスのアウトソーシング需要を成長要因として安定的に成長し、2009〜2014年の年間平均成長率を9.5%、2014年の市場規模は9745億円とIDCでは予測している。
IDCはセキュリティ市場にとって、今後のクラウド利用の拡大はプラスに働くと予測している。これまでポリシーレベルで留まっていた情報資産のクラス分けが、クラウドと自社内のどちらに置くかという具体的なレベルまで進み、セキュリティ製品導入の前提条件のひとつがクリアされることは大きな要因だとしている。ただし、クラウド利用において、セキュリティはユーザーが最も懸念する事項であり、今後、クラウドビジネスにおいて有利な展開を図るには、ユーザーにセキュリティの差別化を訴求することが必要となると見ている。IDC Japan、セキュリティリサーチマネージャーの花岡秀樹氏は、「今後は、クラウド提供事業者がセキュリティソリューションのチャネルとなり、新たなユーザーを獲得するチャンスが増え、市場拡大につながる。そのため、クラウド提供事業者とのアライアンスは、セキュリティビジネスに対する影響力を増すだろう」とコメントしている。
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